フランツ・フェルディナンドやキーンの大ヒットを皮切りに数多くのバンドがヒット曲を飛ばし、“第2のブリット・ポップ”とも呼ばれた2004年、レイザーライトもそのムーブメントの真っ只中にデビュー・アルバム『Up All Night』を発表、全英初登場3位という快挙を成し遂げた。このアルバムは最終的にイギリスだけで100万枚以上売れ、フランツやカサビアンらと共に時代を象徴するバンドになっただけでなく、アークティック・モンキーズなど昨今の新しい才能が生まれてくる土台を作っていった。そんなレイザーライトの2ndアルバムが『Razorlight』。
リード・トラックでありアルバムの1曲目である「In The Morning」を聴けば、このアルバムの率直さ、迷いのなさが手にとるようにわかる。自分達に素直に、ストレートに紡ぎだした結果の楽曲群なのだ。良い意味で非常に力が抜けているといってもいいだろう。その迷いのなさとリラックス感がこちらにも伝わってきて、素直に一気に入り込めるアルバムになっている。確かに「Who Needs Love」は今までにないメロディ、サウンドを持っている楽曲であるが、芯はあくまでもレイザーライトであるので違和感なく聴くことができるし、「America」「Before I Fall To Pieces」「Back To The Start」なんかは、もう完璧としかいいようがないメロディで、一瞬でノックアウトされてしまう。10曲で35分という時間に凝縮されたこの迷いなき楽曲群の素晴らしさを、ぜひお聴きいただきたい。
ボーカル、ピアノ、ドラムの3人という変則的な構成ながら、美しいメロディを奏でるキーン。デビュー・アルバム『Hopes And Fears』は世界中で500万枚以上売れ、Music Week誌には「心臓が止まるほど美しいメロディ」と評されるなど、シーンに与えた衝撃は非常に大きかった。このアルバムは今聴いても、全く古さを感じさせない素晴らしい作品。
そして『Hopes And Fears』から2年ぶりとなる2ndアルバムが、この『Under The Iron Sea ―深海―』である。プロデュースは前作で共同プロデューサーであったアンディ・グリーンとバンドが担当。「この3人でどれだけ出来るか、3人だけでやってみたい、試したい」という考えのもと、一切ゲストは迎えず、キーンのみで作り上げたアルバムとなっている。
「このアルバムで僕たち3人は、息が止まりそうな状況を描きたかった」と言うように、現実に横たわる息苦しさ、閉塞した状況を、そしてそれにどう対処していけば良いのか、どう反応していけば良いのかわからず、戸惑ったり混乱している状況を歌っている。そしてその息苦しさの象徴であり、ダークで理解不能、足を踏み込むことができないものの象徴が“アイアン・シー”なのである。だからこそ8曲目の「The Iron Sea」は、歌詞もなく、ヘビーでダークな音像がただ流れているのだ。
ややロックよりになった感のある「Is It Any Wonder?」のあまりに美しすぎるメロディに、ふらふらになりながらアルバムを聴いてみても、すべてがキーンのメランコリックで美しいピアノを基調としたメロディに彩られ、一体これ以上何を望めるのだろう感じるほど素晴らしいアルバムである。様々なタイプの楽曲があるが、ちょっと哀愁を含んだメロディ、繊細な音色を奏でるピアノと、一分の隙もなく構築されており、見事の一言。あまりに美しく、あまりに完璧な1枚だ。