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3月/第4週
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世代別!連続ショートストーリーを読んで聴く、春のJ-POP。
別れ、旅立ち、引越し、不安、そして出会い、始まり、新生活と、人生でのさまざまな出来事が起こる春。3月のマンスリー特集は20代、30代、40代と、三つの世代の“春の物語”と、それにぴったりな音楽をテーマに毎週連続でお送りいたします。オリジナルショートストーリーを読みながら、それにあった音楽を聴いてみてください。
つまりはこういうことだ。「転勤」→「羽を伸ばす」→「浮気」…この昼メロ論理と息子の中学入学という環境の変化…これを妻は僕が単身赴任をしてから、2週間経った今も…。
なかなか受け入れることができないようだ。
こういうときに使うべき例じゃないだろうが、時間が解決する。
最近の僕はそう言い聞せている。もちろん家族も大事なのだが、自身の環境を整理するにも時間がかかる。そして「もうあまり若くないのだな…」と少し寂しくなってくる。
テレビの天気予報では桜の開花宣言の便りが北上してきていたが、仙台はまだまだ肌寒い。まだまだ桜は遠そうだが、商店街の造花の桜はアンバランスに満開だった。単身赴任前なら家族で上野公園に行っていた4月の初旬に僕の歓迎会は行われた。
普段顔を合わせているのに、もう一度改めて挨拶をし、乾杯し、なんとなくの盛り上がりを見せ、会は終了。支店の仲間の会話がローカルな方向に行き始めたので、二次会は体よくお断りし商店街を少し散歩してみることにした。
「なんか疲れたなあ…」
こんなつぶやきは、歓迎会が終わり本格的に新天地での生活が始まるということを改めて突きつけられたからだった。
「そうだ、僕の家は今帰っても誰もいないんだよな…」
急に東京に電話をしたくなる衝動に駆られ、携帯電話を手にとってみたが、今朝、つまらないことで妻と口論になり「会社に行く時間だから」と一方的に電話を切ったのを思い出した。自分が寂しくなったのが本音だが、妻のご機嫌を取るためにと言い聞かせ、短縮から番号を呼び出す。
2回、3回とコールが鳴り、荒い息の妻が電話に出た。
「はぁ、はぁい!もしも〜し」
「あ、僕だけど、何で息があがってるの?」
「脱衣所から急いで出てきたのよ!正人テレビに夢中で電話に出てくれないから!」
そういえば、妻の声の後からテレビの音が聞こえてくる。
「ほら、正人。お父さんからよ!お母さん寒いから、ちょっと換わって!」
被せるように正人の声が遠くから聞こえる
「お父さん元気〜?笹かまぼこ、早く送ってよ〜」
「正人!そんなんじゃないでしょ!中学校のこととか、ねえ!お父さん。」
「……………………」
「お父さん?どうしたの?あたし寒いから、後でかけなおしてもいい…?お父さん??」
僕はアンバランスに満開な造花の桜の横に立ちすくんでいた。
「君と話していると落ち着くよ…」
ピンク色のプラスチックの感触を手に感じながら、思いがけず涙がこぼれた。
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「上を向いて歩こう」/RCサクセション
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