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総合TOP > 連載 > USENリコメンド > 3月/第2週 > 30代

USENおすすめ!!マンスリー企画連続OnGen小説『ほろり、ぽろり…それぞれの春』
世代別!連続ショートストーリーを読んで聴く、春のJ-POP。
別れ、旅立ち、引越し、不安、そして出会い、始まり、新生活と、人生でのさまざまな出来事が起こる春。3月のマンスリー特集は20代、30代、40代と、三つの世代の“春の物語”と、それにぴったりな音楽をテーマに毎週連続でお送りいたします。オリジナルショートストーリーを読みながら、それにあった音楽を聴いてみてください。
ありがとう
30代

未貴を車へ担ぎ込み、猛スピードで車を走らせる英紀。「お願いだ!気づいてくれ!」と英紀は心の中で何度も祈った。病院へ到着し、すぐさま治療室に入る未貴。思いのほか早く、治療室から出てきた未貴は静かに眠っていた。
「じきに目が覚めるでしょう」病室に運ばれる未貴のベッドに付き添いながら廊下を進もうとする英紀の後ろから男性の声がした。振り向くと、担当医がこちらを向いて立っていた。
「未貴の様態はどうなんですか!?」病室に運ばれる未貴を目をやりながら、英紀立ち止まり、そう担当医に尋ねた。
「特に目立った外傷はないし、骨折や打撲もありません。倒れた原因は急激なストレスでしょうな」医者の説明を聞き、命に別状がないことを知り安堵した英紀は全身から力が抜けていくように感じた。
それと同時に、自分が別れ話を切り出したことによって、今回の事態を引き起こしてしまったことを悔やんだ。担当医に未貴の病室の部屋番号を確認し、英紀はすぐに未貴がいる病室に急いだ。そのときの英紀は「生きていてくれてありがとう」と未貴への感謝の気持ちで一杯だった。
未貴がいる病室のドアをそっと開ける英紀の目に、見慣れぬ女の子の姿が目に入った。その女の子は椅子に座り、未貴を心配そうに見つめ、小さな声で話しかけている。
「ママ…早く目を覚ましてよ〜」
「マ、ママ!?」英紀の頭の中は真っ白になった。
その時、女の子が英紀の存在に気づき、こちらに目を向けるそれとほぼ同時に、未貴が薄っすらと目を開けた。
英紀「未貴!!気分はどうだ...いや、この女の子は?」
未貴「英紀…紗知…」動揺する英紀、目を覚ました未貴、紗知と呼ばれた女の子。
なんとも不思議な空気が漂う病室とは裏腹に、窓の外から春の爽やかな風が優しく吹き込んでいたのだった。
つづく…
「さようなら ありがとう」/夏川りみ そんな3人に「ありがとう」を伝えるこんな1曲を…
 




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