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総合TOP > お役立ちインデックス > OnGenアーカイブス > (隔)週刊 鷺巣詩郎 > 2007/06/06 葉加瀬太郎

(隔)週刊 鷺巣詩郎  鷺巣詩郎の選ぶおすすめの1枚
葉加瀬太郎 『Sweet Melodies〜TARO plays HAKASE〜』
葉加瀬太郎  『Sweet Melodies〜TARO plays HAKASE〜』
TRACK LIST
葉加瀬太郎 『Sweet Melodies〜TARO plays HAKASE〜』
葉加瀬太郎
『Sweet Melodies〜TARO plays HAKASE〜』
2006 Release
ダウンロード価格
トラック 各\200(税込)
アーティスト詳細へ
葉加瀬太郎というジャンルの第一人者、葉加瀬太郎

 僕は葉加瀬太郎を愛している。心から愛してやまない。
  よく、何をさしおいても「無人島に持っていきたい自分にとっての一枚」は何か? という問答があるが、それを言うならば、僕にとって何をさしおいても「無人島に持っていきたい一人」、何をさしおいても「無人島に持っていきたいミュージシャン」こそが葉加瀬太郎である。

 これほどのエンタテインメント・ヴァイオリニストは世界広しといえども、まず居ない。まさに葉加瀬太郎という類い稀なるアーティストの独壇場である。

  そりゃ古今東西、きわめて優秀なクラシック・ヴァイオリニストは沢山いる。彼等、彼女等は、技巧だけで測(はか)るならば、正直、葉加瀬太郎よりもすぐれた弾き手かもしれない。しかし、どっこい「音楽はスポーツではない」。

100mを15秒で走る者より、10秒で走る者が「かならず勝つ」のがスポーツだ。「勝ち負けを競うこと」に一点の曇りもない。あらゆる面で「他より抜きん出た者が、結果として、勝つ」。しかし音楽は違う。音楽は決して「勝者を競うものではない」。たとえるならば「何秒で走った」かよりも「どのように走るか」を客にアピールするものである。

  100mを5秒で走れば革命だ。いや、生身の人間ならば不可能だ。人間の限界など誰もが知っている。しかし9.5秒ならば「もしかしたら可能かもしれない…」という小差、僅差を競うのも、またスポーツの醍醐味だとしたら、音楽も表現の小差、僅差を比較するのが良かろう。

  ただ、100mに20秒を費やしたらスポーツでは茶番になるが、音楽は実力差が大差であっても「成り立つ」のだ。古今東西オペラ・シンガーと比して「歌唱力に大差があろうとも」アイドル・シンガーが、革命とはいかなくとも、それに近い社会的影響力を持ったことは、これまでにも多々あったことだ。

あ、ごめん。アイドルの話なんか持ち出しちゃって。もちろん太郎だって、すごく「上手い」ヴァイオリニストですよ。間違いなく!
  先にも触れたとおり、太郎は世界のどこに出しても、まったくもって無敵のヴァイオリニストなのだから。自他ともに唯一無比の技巧を誇る、かのセリーヌ・ディオンが「太郎のヴァイオリンは素晴らしいのは、彼のパフォーマンスが証明しているわ。どんな優れたテクニックをひけらかすより、お客さんが求めているのは、素晴らしいパフォーマンスなの。彼の演奏には私たち仲間からだって、いつも拍手喝采よ!」と言った。そのとおり!! さすがセリーヌ、これは絶対に社交辞令ではなく、本心だと思う。

 クライズラー&カンパニー(以下K&K)としてデビューする前から、僕は葉加瀬太郎を知っている。
もちろんK&Kのデビュー・アルバムから3枚は、僕のプロデュース、アレンジ、プログラミングだし、スタジオでも連日24時間、飲み、食い、遊ぶのまで、ずっと一緒だった。がしかし、もっとそれ以前、彼等がライヴなんてもんじゃなく、小さな喫茶店みたいなところで演奏してた頃も、僕はよく知っている。 
その頃から、セリーヌ言うところの太郎の「素晴らしいパフォーマー」ぶりは、まったく変わっていない。“栴檀は双葉より芳し”なんてもんじゃない! 当時から何ひとつ変わっていないのだから。これぞ音楽の本質だ。要は音楽に対する、葉加瀬太郎の「アティテュード(姿勢)」に尽きる。

  それから20年間、世界中どこに行こうが、彼が同じアティテュードで、相手がプロであろうがアマであろうが、まったく同じ「強力なインパクト」で聴く人たちを圧倒したのを僕は目の当たりにしてきた。なんと恐ろしい音楽家だろうか。

 これは、K&K後ソロになって10周年を記念したアルバムであり、同時にリリースされた古澤巌との競演盤『Time has come』は僕がプロデュース、アレンジをしたものだ。そう、どちらも、太郎のアティテュードは変わらない。この先もずっと変わらないであろう。
 
  長い間これほど傍らから見ている僕だけに、太郎については音楽的にも、人間的にも書きたいことは山ほどあった。しかし、どれだけ細かいことを書くよりも、まず僕はこれが書きたかった…また再び彼のアルバムをここで取り上げるときは、もっと山ほどある逸話について書こう。

鷺巣詩郎(さぎすしろう)


お知らせ
ワールドワイドに活躍中の作曲家、音楽プロデューサーの鷺巣詩郎のブログ「SHIRO'S SONGBOOK ひろば」がついにOPEN!
プロフィール
鷺巣 詩郎
25年以上もの長きにわたり第一線で活躍し続け、驚異的なキャリアを誇る、作曲家、編曲家、音楽プロデューサー。
80年代初頭のアイドル歌謡曲時代から、インストゥルメンタル・アーティスト、近年のシンガー・アーティストに至るまで広範囲にわたり何百何千もの楽曲、アーティストを手掛け、くわえて、映画、TVなど、あらゆる映像音楽(サウンド・トラック)分野でも活躍、あわせて膨大な数の大ヒットを、絶えず世に送り出している。
90年代よりヨーロッパでも活動、パリでのクラブ経営、英仏アーティストの楽曲も手掛ける。また日本人として初めて韓国映画の音楽監督もつとめた。
近年の代表作はMISIA、平井堅、CHEMISTRY、エリーシャ・ラヴァーン、SMAP、「新世紀エヴァンゲリオン」「MUSA」「CASSHERN」など。 自身のアーティスト活動も”SHIRO'S SONGBOOK”シリーズとして継続中、最新CDが2005年8月avexより発売される。
R&B専門誌への長期連載、USENサイトへのコラム、ブログなどの執筆活動も盛ん。現在ロンドン、パリ、東京の3ヶ所に在住。
USENのCS衛星放送SOUND PLANETにて鷺巣詩郎選曲による音楽プログラム『SHIRO'S SONGBOOK』(BF-53チャンネル)が 絶賛放送中! こちらもお聴き逃しなく!





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