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総合TOP > お役立ちインデックス > OnGenアーカイブス > (隔)週刊 鷺巣詩郎 > 2007/05/02 クインシー・ジョーンズ

(隔)週刊 鷺巣詩郎  鷺巣詩郎の選ぶおすすめの1枚
クインシー・ジョーンズ 『The Best Of』
クインシー・ジョーンズ 『The Best Of』
TRACK LIST
クインシー・ジョーンズ 『The Best Of』
クインシー・ジョーンズ
『The Best Of』
1998 Release
ダウンロード価格
アルバム \1,500(税込)
トラック 各\150(税込)
アーティスト詳細へ
御大「Q」健在なり!

 さて、今年もそろそろ「Q」を取り上げるタイミングが来たかな。つごう3回目となる巨匠クインシー・ジョーンズの、今回はベスト・アルバムを取り上げる。

 クインシーのリーダー・アルバムは95年の『Q's Jook Joint』以来、なんと12年間も出ていない。今年でもう74歳にもなるゆえ「ぜひ、またキラ星のごとく豪華キャストをあやつるゴッドファザーぶりを発揮したリーダー・アルバムを出して欲しい」というのと「いいトシなんだから(笑)、身体を大事にして欲しい」という正反対な外野からの勝手な希望が交差しまくっているカンジの、ここ10数年だ。
 しかし、すでに80年代から、そう、クインシーが50歳を過ぎ、すでにマイケル・ジャクソン等のヒュージ・サクセスをおさめた後に、インタヴューや取材などで必ず「引退」について尋ねられると、本人はいつも「リタイアするだって!? ミュージック・ビジネスって言うけど、思いっきり趣味嗜好で音楽やってるワケだろ( 笑)。こんな、リタイヤ後にやるような道楽を、若いうちからすでに何十年もやってて、どうしてまた、わざわざリ タイヤする必要があるんだい?」と答えるのは、もう25年間以上も定番となっており、ギョーカイでは有名だ。
 老いてますます盛ん。実際2000年には、カウント・ベイシー・スクールの同門であり、おなじくリビング・レジェンドの大アレンジャー・コンポーザーであるサミー・ネスティコの「おい、クインシー俺も(1924年生まれ)もうこんなトシだぜ、いつまで待たせるんだい。おやっさん(ベイシー)に捧げるアルバムを早いとこ一緒に作らないと、俺等ふたりともあの世行きだぜ! 手みやげも無しじゃ天国でおやっさんに言い訳できねえだろ!!」のひと言で、ネスティコとの競演が実現した『Basie and Beyond』という、とてつもない名盤をリリースしている。このアルバムはリリース後しばらくして、ネスティコ作品よろしくオリジナル・スコアも発売され、これまでのベイシー=ネスティコ楽曲とおなじく、世界中のプロ、アマすべてのビッグ・バンドのレパートリーとなり、愛されている。
 “We Are The World”並みのフィクサーぶりも健在で、ヴァチカンでの“We Are The World II”(のような)イベントをやったり、さらには全米の黒人カルチャーを牽引した(結果、白人その他すべてのカルチャーを牽引した)Vibe誌の編集主幹を努めたり・・・クインシー、常に健在なり。以下こんな余話まであるぐらいだ(2006年の秋ごろ)。

 最近なんとクインシー・ジョーンズと仕事をした旧知のプロデューサーが、クインシーの大邸宅をおとずれ「とてつもないモノ」に遭遇したと言う。興奮しながら彼が説明してくれた。
 「いやはや恐ろしい代物だよ、まったく・・・おい、クインシーって今いったい誰と仕事してると思う、誰と?」
 「え、だって、その(知人プロデューサーの担当アーティスト)誰々の仕事なんじゃないの?」と僕
 「いや、違うってクインシーのパートナーってことだよ」
 「パートナー?」
 「驚くなよ、なんとビル・ゲイツだ」
 「ま、考えられない取り合わせじゃないけど・・・それで?」
 「やつら二人でとんでもないモノ作りやがったんだ!」
 「え、モノ? 音楽ソフトとかじゃなくって?」
 「う〜ん、ソフトっちゃソフトかもしれないけどね、なんとも説明するのが難しいんだが・・・」
 「なんか、すごそうだね(笑)」
 「笑いごとじゃないんだ、クインシーがスクリーンを前に指揮をするだろ、すると音が変わるんだ!」
 「!?」
 「ビックリだぜ、クインシーがフェーダーをつまむ仕草をして、そのチャンネルのボリュームを上げる仕草をすると、そのチャンネルのヴォーカルの音が大きくなったり、今度はベースを下げる仕草をすると、ベースの音が小さくなるんだ!」
 「つまりPro Toolsのヴァーチャル・フィジカル・コントロールド・ミキサーってこと?」
 「細かいことはわからんが、傍で見ているこっちはもう気が狂いそうだったぜ、ホント」

 僕はひらめき、知人プロデューサーに「それってスピルバーグの“マイノリティ・リポート”に出てくる、あの宙に浮いたように投影されるスクリーンの前でジェスチャーでコンピューターをコントロールする『あれ』のこと?」と確認したところ、彼はドンピシャの具体例に興奮して「それそれ〜!!まさにそれだよ、あの操作は」とまくし立てた。さらに「クインシーはスティーヴ(ン・スピルバーグ)とも大親友同士じゃない、だからきっと“マイノリティ・リポート”を観てホンモノを作りたくなっちゃったんだと思うよ!」とくわえた。

 この話のプロデューサーと手がけたエンニオ・モリコーネのトリビュート盤にハービー・ハンコックとの曲で参加したのがクインシーの最も新しい仕事か。

 そういえば、この『The Best Of』でリード・トラックとなっている大ヒットナンバー、“Ai NoCorrida=愛のコリーダ”の余話もひとつ。
 いま僕がこの原稿を書いている、と言うかLondonでのホーム・グラウンドである・・・それよりも毎日居るって書いたほうが早いか(笑)、ここEASTCOTE Studiosこそ、なんと“愛のコリーダ”のオリジネーターにして作曲者のChaz JANKEL=チャス・ジャンケルが創設したスタジオなのだ! 現在は僕の友人であるエンジニアのPhilip BAGENALが引き継いだが、チャスがこの大ヒットナンバーの収入によって(笑)得た機材やスペースを、いま僕が使っているのだと思うと、とても感慨ぶかい。
 だから、もちろん僕はチャス(僕らは「チャズ」と発音します)と、よく会います。このあいだも会ったばかり…もちろん彼も健在です!  まぁ、このあたりの“愛のコリーダ”の逸話などは、また今度タップリと書きましょう!!

鷺巣詩郎(さぎすしろう)

お知らせ
ワールドワイドに活躍中の作曲家、音楽プロデューサーの鷺巣詩郎のブログ「SHIRO'S SONGBOOK ひろば」がついにOPEN!
プロフィール
鷺巣 詩郎
25年以上もの長きにわたり第一線で活躍し続け、驚異的なキャリアを誇る、作曲家、編曲家、音楽プロデューサー。
80年代初頭のアイドル歌謡曲時代から、インストゥルメンタル・アーティスト、近年のシンガー・アーティストに至るまで広範囲にわたり何百何千もの楽曲、アーティストを手掛け、くわえて、映画、TVなど、あらゆる映像音楽(サウンド・トラック)分野でも活躍、あわせて膨大な数の大ヒットを、絶えず世に送り出している。
90年代よりヨーロッパでも活動、パリでのクラブ経営、英仏アーティストの楽曲も手掛ける。また日本人として初めて韓国映画の音楽監督もつとめた。
近年の代表作はMISIA、平井堅、CHEMISTRY、エリーシャ・ラヴァーン、SMAP、「新世紀エヴァンゲリオン」「MUSA」「CASSHERN」など。 自身のアーティスト活動も”SHIRO'S SONGBOOK”シリーズとして継続中、最新CDが2005年8月avexより発売される。
R&B専門誌への長期連載、USENサイトへのコラム、ブログなどの執筆活動も盛ん。現在ロンドン、パリ、東京の3ヶ所に在住。
USENのCS衛星放送SOUND PLANETにて鷺巣詩郎選曲による音楽プログラム『SHIRO'S SONGBOOK』(BF-53チャンネル)が 絶賛放送中! こちらもお聴き逃しなく!





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