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総合TOP > お役立ちインデックス > OnGenアーカイブス > (隔)週刊 鷺巣詩郎 > 2007/04/18 ミニー・リパートン

(隔)週刊 鷺巣詩郎  鷺巣詩郎の選ぶおすすめの1枚
ミニー・リパートン 『Stay In Love/Minnie』
ミニー・リパートン 『Stay In Love/Minnie』
女性黒人ヴォーカルにおける間違いなく「最高峰アルバム」

これほどの大傑作アルバムが、しかも2枚ぶんセットになって1500円でダウンロードできるなんて、本当に信じられない!!  「ダウンロード購入」という行為が、やっと珍しくなくなってきた昨今、この2枚ぶんのアルバム『Stay In Love/Minnie』の購入は、ダウンロード「史上最高にお値打ちな買物」であると、僕は胸を張って断言できる。

 Chessレーベル時代、スティーヴィー・ワンダーのバッキング・ヴォーカリスト時代から業界での評価は高かったミニーだが、その人気が一般的にも決定的となったのは、もちろんアルバム『Perfect Angel』からのシングル・カットされた「Lovin' You」の大ヒットによるところが大きい。この名曲はR&Bソウル界のみならず、ジャズ界、ロック・ポップ界などのあらゆるアーティストからカヴァーされ続け、ずっと愛され続けているし、それは今後もずっと変わらないであろう。
 しかし、その『Perfect Angel』から遺作となった『Minnie』までが、たったの5年間、アルバムにして約4枚だけなのに、不幸にもなんと31歳にしてこの世を去ってしまった彼女なのに、悲しいかな「Lovin' You」以外の作品が、あまり評価されていないように感じる。

 とくに1979年春にオリジナルがリリースされた(彼女が他界したのは同年の初夏)『Minnie』は、女性シンガーのプロダクションを極めた完璧なアルバムである。  以下、僕が某音楽専門誌に寄せた『Minnie』についての文章をお読みいただきたい。

  稀有なる才能を持った歌姫の美しすぎる「遺作」。このアルバムを超えるソプラノ・シンガーの作品は30年間ちかく出ていないし、この先も絶対に出ることはないだろう。なぜなら、究極のバッキング・プロダクションを引き出すための「女性シンガー最高のスタイル」を、ミニーが天国に持っていってしまったからである。

  いかなるジャンルであれ、優秀なミュージシャンほど「誰のバッキングをしても同じというわけではない」。優秀なバック・ミュージシャンとは優秀なフロント・パフォーマンスに対してのみ優秀であってこそ優秀なのである。マイルスだからこそ、あれだけのバックを集められたのであり、あの面々だからこそ、マイルスとやり合えたのである。

 まず、フロントがミニーでなければ、名アレンジャーのジェレミー・ルボックはこれほど鬼気迫るストリングス・オーケストラを書かなかったし、書けなかっただろう。このアルバムのストリングス・アレンジはジェレミーの全仕事中でも白眉であり、かつ、ソウル・シンガーのバッキングという枠を超越している。きわめて先進的でアヴァンギャルドなジャズ・オーケストレーションだ。  御大スティーヴィーの全面的バックアップや、ハーヴェイ・メイスン、アンソニー・ジャクソンの信じがたいグルーヴを引き出したのも、すべてミニーのパフォーマンスあってこそ。アルバムの最後の最後だけに登場するホセ・フェリシアーノとミニーのからみなど、何百回、何千回聴いてもトリハダが立つ。

 この主役にして、この脇役あり。

 恐ろしいほど完璧なプロダクションであり、結果、このアルバムが女性シンガーのプロダクションを「極めてしまった」・・・・・・そう、「極み」がもたらしたのは「終局」でもある。悲しいかな、これ以降のどんな女性シンガーのプロダクションも、すべて抜け殻にしか聴こえなくなってしまったのだから。でも、それはたとえばマライアが決して劣っているわけじゃない。このアルバムにおけるミニーとバックの面々のパフォーマンスがスゴすぎるだけだ。

  以上、もちろんこの『Minnie』の前作『Stay In Love』も、『Minnie』に劣らない秀作である。その2枚がセットになっているのが、このOnGenで1枚ぶんの価格でダウンロードできるのである。  もしも、「ミニー・リパートンといえば“Lovin' You”しか思い浮かばない」という方々がいらしたら、ぜひともこの2枚セットをダウンロードしてお聴きいただきたい。その2枚だけで、偉大なる音楽家ミニーの半生(彼女リーダー・アルバムの半分)を聴けるわけだし、なにより、古今東西あらゆる女性ヴォーカリスト中、最高のプロダクションが聴けるのである。

  未来永劫ぜったいに消えることのない、傑作アルバムにして、レコード芸術の最高峰である。

鷺巣詩郎(さぎすしろう)

お知らせ
ワールドワイドに活躍中の作曲家、音楽プロデューサーの鷺巣詩郎のブログ「SHIRO'S SONGBOOK ひろば」がついにOPEN!
プロフィール
鷺巣 詩郎
25年以上もの長きにわたり第一線で活躍し続け、驚異的なキャリアを誇る、作曲家、編曲家、音楽プロデューサー。
80年代初頭のアイドル歌謡曲時代から、インストゥルメンタル・アーティスト、近年のシンガー・アーティストに至るまで広範囲にわたり何百何千もの楽曲、アーティストを手掛け、くわえて、映画、TVなど、あらゆる映像音楽(サウンド・トラック)分野でも活躍、あわせて膨大な数の大ヒットを、絶えず世に送り出している。
90年代よりヨーロッパでも活動、パリでのクラブ経営、英仏アーティストの楽曲も手掛ける。また日本人として初めて韓国映画の音楽監督もつとめた。
近年の代表作はMISIA、平井堅、CHEMISTRY、エリーシャ・ラヴァーン、SMAP、「新世紀エヴァンゲリオン」「MUSA」「CASSHERN」など。 自身のアーティスト活動も”SHIRO'S SONGBOOK”シリーズとして継続中、最新CDが2005年8月avexより発売される。
R&B専門誌への長期連載、USENサイトへのコラム、ブログなどの執筆活動も盛ん。現在ロンドン、パリ、東京の3ヶ所に在住。
USENのCS衛星放送SOUND PLANETにて鷺巣詩郎選曲による音楽プログラム『SHIRO'S SONGBOOK』(BF-53チャンネル)が 絶賛放送中! こちらもお聴き逃しなく!





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