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George Benson
『The George Benson Collection』 1981
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トラック各 \150(税込) |
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このヒトはもともとジョー・パス並に超スキルフルな、ま、ギタリストの場合は昔も今も、わかりやすく「早弾き」と言うのだが(笑)、そう、”ビバップの正統派テクニシャン”=名手である。
この大原則だけは絶対忘れてはならないのだが、ジョージ・ベンソンなるギタリストは、まったくもって「売れ方」が不思議、かつ非常に興味深い・・・というか、こんな劇的な人生を送っているミュージシャンは他に例を見ない・・・彼こそはジャズ史上「もっとも稀有なギタリスト」と言えるだろう。
まず第一に70年代初頭、ジョージ・ベンソンCTIレーベルでウェス・モンゴメリーの後継者的な売られ方で、すでにベンソンはジャズ・ギタリストとして「ある程度は成功していた」。
本人名義盤、CTIオールスター盤(中でも、どす黒いスタンリー・タレンタインとの共演などは最高)などで、CTIの看板ギタリストとしてスターの地位を築いていたのである。
CTIで売れたジャズメン(フュージョン)連中というのは、例外なく「CTIがキャリアのピーク」であり、それはウェスしかり、ボブ・ジェームスしかり、デオダートしかり、シーウインドしかり・・・なのだが、が、しかし、注目すべきは、その唯一の例外が、このジョージ・ベンソンであるという事実だ。
つまり第二に、ジョージ・ベンソンはCTIを離れた後「トミー・リピューマと出会い」→「グラミーを獲得」、第三に「クインシー・ジョーンズと出会い」→「7〜80年代ブラコンの音楽性を一気に高め」、そして今は、第四の円熟期を迎えているのである。とくにワーナーに移り、リピューマのプロデュースのもと、最初にリリースした‘Breezin’’は、ジャズとかフュージョンとか言う以前に、黒人音楽がリスナーに与えるべき最大の快楽のひとつ「Smooth & Mellow」なエッセンスを全面に押し出し、最大級の商業的成功をも勝ち得た大傑作・・・まさに70年代の金字塔作品である。
米ラジオでオンエアされるたびに、声質もあるが語尾のコブシのまわし方から、スティーヴィの新譜と聴き間違えられることが多く、そのアテンションが大ヒットの要因となったグラミー受賞曲‘This Masquarade’は、ヴォーカルも特筆ものだが、なにより「サッチモ以来これほどオリジナリティあふれ、画期的なパフォーマンスは無い」と、誰もをうならせた例の『アドリブとユニゾンでスキャットをする』という卓越したアイデアが素晴らしかった。掛値なしに音楽的な大発明だ。
ラリー・グラハムのスラッピング奏法より、ジャコのハーモニクス奏法より、スタンリー・ジョーダンの両手弾きより、「声」を使うだけに一般にも大いに訴求したのだと思う。そういう意味でサッチモが発明したスキャットに匹敵するのだと思う。
アルバムとしての“Breezin’”はまだまだ秀逸なトピックスが沢山あった。
まず、リズム隊の素晴らしさ、ハーヴェイ・メイスンの上手さ、ロニー・ジョーダン&ホルヘ・ダルトによる強力なWキーボードなど・・・・・・とくにハーヴェイのドラム、ホルヘのアコースティック・ピアノには他の誰にもマネが出来ない独自性にあふれていた。
そしてクラウス・オガーマンのアレンジによるストリングス・オーケストラ・アレンジに至っては・・・もうグウの音も出ないほど「鬼のように完璧無比」!
あ、その後のジョージ・ベンソン第三のピーク、クインシーとの作品群については、わが佐藤研さんに語っていただこう。
研さんは僕の仕事仲間(A&R)であり、そして僕のブログ「SHIRO'S SONGBOOKひろば」にご登場いただいているし、当然この「(隔)週刊鷺巣詩郎」にも、どんどん登場していただくつもりである。
あ、研さん。第四の円熟期を迎えるジョージ・ベンソン、息子さんはDJだそうです(笑)。「きのう何気にオヤジの曲、受けてたよ」なんて会話もしてるんでしょか?
以下、テキスト: 佐藤研
ギヴ・ミー・ザ・ナイト!
1980年にクインシー・ジョーンズのプロデュースでリリースされたこのアルバムを、僕はこれまで一体何回「買い直した」だろう? ぼろぼろになったスリーヴ・ジャケットに収められた、音溝のすり減ったレコード盤は今でも全て保管してある。ぐにゃりと反ってしまったものでも、絶対に捨てるなんて事はできない。そんなレコードなのである。
“Give Me The Night”は、とにかく使い勝手の良いレコードだった。1983年に初めてDJを始めた僕は、この頃のクインシー・ジョーンズ関連作品とジャム&ルイス、ジャック・ペトラス&マウロ・マラヴァシものをミックスしまくっていた。まあディスコ時代だから当然といえば当然なのだが、それにしてもホントーによくスピンしていた。なにがそうさせたのか? もともとチャートものとは無縁の選曲をしていた僕が、この作品の何にそこまで惹かれていたのか?今回ひさびさに聴き直してみて、つらつらと思ったことがある。
とにかく、これはもう当たり前過ぎて恐縮なのだが、“Give Me The Night”は、当時の大衆音楽/黒人音楽の、色々な意味での頂点に位置する作品だったのだなあと、四半世紀経って聴き直してみて、改めてそう思う。演奏者、制作者、レコード会社、全てのスタッフが一丸となって生み出した、圧倒的なクオリティーと魔力をまとっている。音そのものが生命を持っている、そんな感じ。
さらに云うなら、あまりにも完成度というか純度の高さ故に、多少一般リスナーがおいてけぼりにされてる感じすらある。
時代背景から云って、表題曲を含めてディスコ・ビートに主軸を置いた曲の印象が強い本作だが、実は‘Moody's Mood’や‘Turn Out The Lamplight’といった、いかにもクインシーな香りのするびしょ濡れな楽曲も素晴らしく、実際にこれらの曲を聴いた当時の僕は相当に影響を受けていたらしく、今やってる仕事にもそのイメージが滲んでいたりする。
ジョージ・ベンソンは、このあと、“20/20”というヴォーカル・アルバムをリリースしたりするが、結局はギタリストであり歌手でもあるという、独特なスタンスでのアーティスト活動を続けてゆくことになる。最近ではマスターズ・アット・ワークの熱烈なラヴ・コールで制作された‘You Can Do It, Baby’という傑作があったが、同曲で初めてジョージ・ベンソンの存在を知り、その魅力に取り憑かれたリスナーには、"Give Me The Night"に収録された‘Dinorah, Dinorah’を聴いてみて頂きたい。DJだったらぜひともプレイしてみることをお勧めする。一瞬にして周りの景色が変わる、フロアの空気が浄化される、そんな曲だ。
ベンソン・ジュニアは親父のどんな曲をプレイしてるんだろう? あと、9曲目の‘Midnight Love Affair’の異常なまでの歌謡曲っぽさも今だから気になるし......。
鷺巣さん、近々一杯やりながらその辺の音楽談義したいっすね。
ふたたび鷺巣詩郎に戻り
そうですね研さん、ベンソンにはどんな酒ですかね? でも、かつて僕はジャズ喫茶で、つまり一杯のコーヒーでも(笑)ベンソンはよく聴いてましたよ。ちなみに僕にとっての「ザ・ベスト・テイク」はですね・・・もう1も2もなく、Deodatoの"Love Island"にゲスト参加したベンソンに尽きます!! これはホントすごい。
この曲の、いわゆる「早弾きアドリブ」の早さったらマジ倍速のよう(笑)。しかもEW&Fばりのメロウ・ソウルなトラック上で完璧なビバップ・フレーズを炸裂させちゃってるとこが、ジャズ的な見地から見て「超強力」なんです(こういう時、昔のジャズ屋さんたちは「ゴリゴリのアドリブ!」って表現してましたね)。
こんなギタリストは二度と出てこないでしょう・・・もちろん、そんな稀有な「売れ方」も含めて。 |