“システム・オブ・ア・ダウン”のフロントマン、サージ・タンキアンのアートな世界
この、『エレクト・ザ・デッド』は今なお無期限の活動休止状態の只中にあるトップ・へヴィ・ロック・バンド、システム・オブ・ア・ダウン(以下SOAD)のフロントマンであり、ソング・ライター、プロデューサーほかでもあるサージ・タンキアンの初ソロ・アルバムだ。SOADとしてのキャリアはすでに10年を数えるけど、ご存知のとおり、その間にサージはSOAD以外のところでもさまざまな活動をしてきた。自主レーベル、Serjical Strike Recordsを主宰し、アンダーグラウンド色が強く、ユニークな音楽を演るバンドの作品をコンスタントに発売しつつ、ときに自らプロデュースし、ボーカルとしてゲスト参加してもいる。また行動主義を掲げる政治活動家としての活動も知られ、非営利政治団体Axis Of Justiceの創設者の1人でもある。さらに最近では映画やTVゲームの音楽制作にも着手するなど、クリエイティヴィティにあふれ、アート全般制作にとにかく貪欲な人なのだ。この初ソロ・アルバムは、そんなサージのある種今日までのメンタル的、音楽的なひとつの集大成と言える。いずれソロ作を発売したいと思った、というのが、ピアノを初めて弾いた幼少の頃だったということが、それを裏づけている。
全楽曲とすべての歌詞はもちろんのこと、プロデュースを手がけ、ドラムを除く(SOADのジョン・ドルマイアンほかがプレイ)、ボーカルを含む多くの楽器もプレイして完成させたこの初ソロ・アルバムでは、いかにもSOADらしい側面と、SOADでは絶対に聴くことのできない側面が見事なまでに共存共栄し、ひとつの壮大で、激しくもあり、また繊細でもあるアートな世界が築かれている。すべてに比類なき個性、存在感、説得力がみなぎり、惚れ惚れしている間に完全に魅了され、そのアートな世界に引きずり込まれている、という実に力のある作品だ。サージの孤高さ、美しさ、優しさ、奥深さなどを心底堪能もできる。この初ソロ・アルバム発売に合わせ、サージはソロ・バンド、THE FCCを組閣し、ラリー・ラロンデ(g/プライマス)、ダン・モンティ(g)、マリオ・パグリアルロ(b)、トロイ・ツェイグラー(ds)、アーウィン・カチキアン(key/SLOW MOTION REIGN)を引き連れ、現在ツアーに出ている。今回のツアーでは、一切SOADの楽曲はプレイしないという。SOADとしての来日が久しく実現してないため、ぜひサージにはソロ・バンドで来日してほしいものだ。
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