スクリーモ界最後の大物による、“美麗な響き” このセイオシン、まさに満を持しての日本正式デビューだ。昨秋、東名阪をサーキットした第2回目となるTaste Of Chaos Tour JAPAN 2006参戦で日本正式デビュー前にその姿を現し、各方面から絶賛された彼らが、ついに本格的にここ日本で第一歩を踏み出したのだ。本国アメリカのインディー・シーンでは早くも“神格化”された今もっともホットな存在であり、今後間違いなくシーンを引っ張っていく存在でもある。
結成歴はまだ3年強とさほど長くはない。2003年にカリフォルニア州南部でジャスティン・チェロスキー(g)とボー・バーチャル(g)の2人を中心に結成された彼らは、ライブを行う一方で、平行してメンバー・チェンジも重ねていくという経緯を経て態勢固め、サウンド固めをしつつステップアップしてきた。同年、自主レーベル、Death Do Us Part Recordsより5曲入りEP『TRANSLATING THE NAME』(日本盤未発売)を発売。この頃にはすでに熱狂的なファンベースを築き上げ、その動向に周囲から熱い注視が集まっていた。メジャー・レーベル間での獲得競争も熾烈を極めていたものの、その事実をバンド側が一切公表しないという“隠密性”が、より彼らの“神格化”の度合いを高めることとなった。そしてアンソニー・グリーン(vo:現サーカ・サバイブ)から現任のコーブ・リバー(vo)に交代、メジャーのCapitol Recordsとの契約がアナウンスされ、同時に上記EPが黒ジャケ(オリジナルは白ジャケ)、ヴォーカルパート録り直し、一部収録曲変更で『Saosin』(日本盤未発売)のタイトルでリイシューされた。それに続いたのが、この初フル・アルバム『Saosin』だ。
“スクリーモ界最後の大物”なる言われ方もする彼らだが、この『Saosin』で繰り広げられ、貫かれているサウンドはもっともっと普遍のロック的アプローチが強い。とにかく“美麗な響き”というものにとことんこだわっていて、ボーカル・メロディ、コーラス・ハーモニー、ギター・メロディ、そして全体の音像からその“美麗な響き”が間断なくあふれ出てきて、聴く者を虜にし、グイグイ引っ張っていく。激しくラウドなところはかなりラウドで激しいけど、平行してその“美麗な響き”も舞い、昇華していく。今後のロック・シーンを引っ張っていく存在に相応しいクオリティも誇る。フーバスタンクやP.O.D.ほかとの仕事で高名なプロデューサー、ハワード・ベンソンの起用も大正解だ。 |