もっとも無名な有名アーティスト・アニマルズ
「曲タイトルもアーティスト名も知らないけど、この曲やあの曲はどっかで聴いたことがある」っていうことがよくあるはず。それに該当するアーティストのなかでももっともその確率が高いうちの一つに、このエリック・バードン(vo)が率いたアニマルズがいる。60年代初頭から70年代中盤にかけて続いたベトナム戦争や、それに対して大学生が中心となって起きた学生運動や反戦運動を題材とした映画に、BGMや挿入歌として彼らの曲が頻繁に使われた。ベトナム戦争中、アメリカ軍とベトナム人民軍によるもっとも激しい戦闘の一つと言われた937高地での激戦を描いた映画『ハンバーガー・ヒル』(‘87年)に「We’ve Gotta Get Out Of This Place」が使われたのは有名だ。さらに有線放送やTVなどでも、彼らの曲を聴くことも少なくない。そういう意味では、もっとも無名な有名アーティストと言えるかもしれない。
彼らは40年ほど前、イギリスのポップ・ミュージック界において“ロンドンにローリング・ストーンズあり、リバプールにビートルズあり、そしてニューキャッスルにアニマルズあり”とまで言わしめ、注目、期待されたアーティストだった。エリックとチャス・チャンドラー(b)らを中心としたキーボードを含む5人組で‘63年に結成、グラハム・ボンド、ジョルジュ・ゴメルスキーといった当時のイギリスの音楽界の実力者たちに認められることで、‘64年にシングル「Baby Let Me Take You Home」(エリック・フォン・シュミットの「Baby Let Me Follow You Down」の改作カバー)でメジャー・デビューした。同曲がいきなり全英チャート19位に飛び込むなど勢いに乗った彼らは、あの有名な「The House Of The Rising Sun」(邦題:「朝日のあたる家」)を2枚目のシングルとして発売、全英/全米の両チャートで1位を奪取するなど、さらに人気度、知名度を高めた。この頃カバーながら、ブルースやR&B色の濃い独自のロックで仕上げた「Don’t Let Me Be Misunderstood」(邦題:「悲しき願い」)、「Bring It On Home To Me」などと印象深い曲が多く、オリジナル曲「I’m Crying」も発表された。だけど、その状態も長くは続かず、‘65年をさかいにメンバーの脱退が相次ぎ、その後バンド名を改名したりして存亡を図るものの全盛期を超えることはなかった。‘76年と‘83年の2度再結成されたけど、その活動も長くは続かなかった。聴くなら、やはりオリジナル活動期の音源に限る。
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