

ときは1960年代後半――。当時、何しろ“超”がつくくらい幼かったので、後々認識することが出来たんだけど、その頃の日本の洋楽ポップス界、イギリスから出てきた“西の横綱”ことビートルズと、アメリカより出現した“東の大関”ことモンキーズという2組のホップス・グループによって牛耳られていた。
そんなある日、その図式やら構図やら勢力分布図やらをブチ壊すために、突如彗星の如く現れたのが、このウォーカー・ブラザーズだった。もともとはR&B歌手、クリス・ケナーのペンによる曲で、その後ウィルソン・ピケットによるヒットで世に広く知られることになった、ある種スタンダード・ナンバーと言える「Land Of 1000 Dances」(邦題:「ダンス天国」)の炸裂で、日本でも人気を決定づけた。
自分は当時、この曲が某チョコレートのTVCMソングに使われているのを聴き、彼らのことを知り、45回転シングル(レコード盤の真ん中に穴の開いた、通称“ドーナッツ盤”だったと思う)を母親にねだって買ってもらったことを覚えている。
“〜ブラザーズ”なるグループ・ネームが冠されたものの、実は彼ら、真の兄弟じゃない。スコット・エンゲル、ジョン・マウス、ゲイリー・リーズと全員赤の他人だ。イギリスよりデビューしたけど、みなアメリカ生まれのアメリカ人で、このグループ結成前にそれぞれ本国での活動キャリアも持つ。そういう意味じゃ、戦略的に売り出された感の強いグループだった。だけど、ビートルズがまるで“脱アイドル”を宣言するように次第にヴィジュアルも音楽もアーティスティックな方向に向かい、モンキーズはなおも徹底して“カワイイ路線”を突っ走っていた当時、生まれ持った端正なルックスと抜群のスタイルなどで“カッコいいキャラ”で売り出した彼らのデビューはインパクト大で、見事大勢の女性ファンのハートを掴み、大変な人気を博した。
フランスのシャンソンを彷彿させるような物悲しく、荘厳な曲に秀逸なものが多く、この『After
The Lights Go Out-The Best Of 1963-1967』で言えば、「Make
It Easy On Yourself」「My Ship Is Coming In」「Deadlier
Than The Male」「(Baby)You
Don’t Have To Tell Me」「In
My Room」「Stay With Me Baby」が佳曲で、お勧めだ。ただ、最大級のヒット曲である、冒頭の「Land Of 1000 Dances」が未収録なのは残念だ。心の底からゆったりしたい、和みたいと思う人に一聴をお勧めしたいグループ、そして作品だ。
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