
もう、だいぶ前の話だ。それこそ20年前とか、30年前とかぐらいの。音楽専門誌で“欧米ではビッグなのに、日本ではまったく無名のアーティスト/バンド特集”みたいな企画が組まれると“常連組”だったのが、かのマルチ・プレーヤー、トッド・ラングレンと、“UKロックの元祖、象徴的バンド”とまで言われる、このフーだ。あのビートルズやローリング・ストーンズと“同期”ながらも、作品を重ねる度に音楽的領域を広げ、その度にロック・シーンに問題を提起した、先鋭的バンドながらも、また“モッズ”というカルチャーの“先導者”ながらも、全盛期にここ日本では正当に評価されることはなかった。それを如実に物語るように、彼らが来日したのは2004年夏に開催された野外フェスティバル“The Rock Odyssey”参戦が初めてだった。'64年に結成、'82年に解散。'85年に“Live Aid”出演のために一夜限りの再結成を果たし、即解散。そして、その7年後の'89年に再結成。それから15年後に実現した、あまりにも遅過ぎる初来日だった。
ロジャー・ダルトリー(vo)、ピート・タウンゼント(g,vo)、ジョン・エントウィッスル(b)、キース・ムーン(ds)という顔ぶれで最盛期にあった頃の彼らは、とにかく“武勇伝”の多いバンドだった。ピートとキースによるギターやドラムをブッ壊すという破壊的なステージング、耳栓なしじゃ見ていられないくらいの大爆音をはじめ、キースの奇行ぶりは特に有名だったし、'79年12月にアメリカの中西部オハイオ州シンシナティー公演で観客による大暴動が起き、11人が圧死するというロック史上最も悲惨な事故も起きている。そして、そのキースが'78年9月7日、ドラックの過剰摂取により急死している。 とても音楽制作に対して貪欲なバンドで、ソロや再結成後のものも含めると、残されてきた作品群は膨大な数に上る。個人的に彼らの大ファンだった、というわけではなかったけど、“問題作”と言われれば聴き、節目節目でも彼らの音楽に触れてきた。今も時折、『Tommy』('69年)、『The Who Live At Leeds』('70年)、『Who's Next』('71年)、『Quadrophenia』('73年)、『Odd And Sods』('74年)、『Who Are You』('78年)などをラックより引っ張り出してきては、懐かしがりながら、その“音楽的先鋭性”の凄さに感服させられる。特に『Tommy』は、グリーン・デイが『American Idiot』を制作するに当たり、ビリー・ジョー・アームストロング(vo,g)を大きく突き動かした作品としても知られる。この機会に、ぜひフーを聴くことをお勧めしたい。
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