
前回は現在ロック・シーンの最先端に立ち、活躍するイエローカードのメジャー・デビュー作『Ocean Avenue』を紹介したので、今回はベテラン勢を取り上げる番だ。60年代後半から70年代初頭に掛けての数年間を勢いよく駆け抜けつつ、後世に絶大な影響を及ぼしたMC5が、それだ。アメリカ中東部に位置し、自動車産業で栄えた街として知られるミシガン州デトロイト産の4人組だった。
MC5とはモーター・シティ・ファイブの略称で、ロブ・タイナー(vo)、ウェイン・クレイマー(g)、マイケル・デイヴィス(b)、デニス・トンプソン(ds)という顔ぶれだった。左翼思想を掲げた非常に政治的な背景を持ち、かつ、まるで社会に噛み付くようなバイオレントなアティテュードむき出しでプリミティブなサウンドを炸裂させることで話題を集め、支持を得ていたことから、保守層からは“危険分子”と目されていたこともあったほど。現に当時、アメリカ国内で“政治的脅威”とまで言われた黒人極左過激武装グループ、ブラック・パンサー党に呼応し、白人革命家ジョン・シンクレアのサポートを受けつつ、ホワイト・パンサー党という政治結社を主宰していた。音楽的には、まだパンク・ロックという言葉が一般化する前に、そのパンク・ロックなる音楽を同郷のイギー・ポップとともにいち早く実践し、体現していた、ごくごく初期のアーティストで、黒人音楽のソウル・ミュージックとの融合というとてもユニークなスタイルを誇っていたのも、彼らの大きな特徴だった。70年代後半にイギリスで狼煙を上げるパンク・ロック・ムーブメントに多大な影響を及ぼしたほか、その後の世代であるレイジ・アゲインスト・ザ・マシーン、プライマル・スクリーム、ザ・ダットサンズ、ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョンらが、彼らから音楽的洗礼を受けているのは有名な話だ。
バンドは’73年に解散。その間に白熱のライヴ盤『Kick Out Jams』『Back In The USA』『High Time』というオリジナル・アルバムを3枚残している。それぞれのアルバムの代表曲が、ここで一気に聴くことができる。’91年にロブが心臓マヒで他界してしまったものの、3人のメンバーを中心にDKT-MC5という別名で30年ぶりに再結成。ライヴDVD『Sonic Revolution:A Celebration Of The MC5』を発売した後、サマソニ04参戦で初来日もした。 |