
前回は“今が旬”なシンプル・プランを紹介したけど、今回は一転、35年前の作品である、グランド・ファンク・レイルロードの初ライブ盤『LIVE』を聴いて欲しいと思う。
そのバンド名が放つイメージや、その荒々しく、豪快でスケールのデカい音楽性から、当時日本で“暴走列車”の異名で親しまれた彼ら。90年代以降の“世界最強バンド”をレッド・ホット・チリ・ペッパーズやレイジ・アゲインスト・ザ・マシーン(R.I.P.)、ザ・プロディジーらとするなら、彼らは間違いなく、70年代の“世界最強バンド”の一つだった。その異名の如く、60年代後半から80年代初頭までの15年を勢いよく駆け抜け、ロック史に数々の偉業を打ち立てたバンドだった。
アメリカ南部ジョージア州出身。最低バンド編成人数の3人組で、マーク・ファーナー(vo,g)、メル・サッチャー(b)、ドン・ブリュワー(dr,vo)なる顔ぶれだった。作品デビュー前から12万人以上を集めた一大野外ロック祭典に出演したり、『ON TIME』('69年)で作品デビュー後、かのレッド・ツェッペリンの前座として全米ツアーを行った際、各地でツェッペリンを喰う異常なまでの人気を博したりと、とても新人とは思えない実績を連発し、一気に頭角を現した。当時メルは17歳の若さだった。
本作は通算4枚目の作品だけど、当時彼らが放っていた尋常じゃないパワー、エネルギー、勢いなどをまんま封じ込めた、まさに強烈極まりない作品だ。“ライブ盤”と言うより“実況録音盤”と言った方がしっくりくるほどリアルでプリミティブな空気に支配されている。単に荒々しいだけでなく、マークとドンがボーカルをとり、綺麗にハモるハーモニーも披露し、泣きのメロディを持っていた点もまた、彼らの魅力の一つだった。
本作を聴き、彼らに、そしてロックという音楽にゾッコンとなった自分は、'71年7月に今は亡き後楽園球場で嵐来襲の中で敢行された初来日公演を体験した。あまりに強い暴風雨のため、彼らはプレイできず、テープが流された“口パク”だったなんてことがまことしやかに囁かれた、曰くつきのライブだった。
その真偽ほどはともかく、34年以上経った今も、あの夜のことはいい思い出として残っている。何しろ“ロック=不良”の時代のことだ、終演後に会場を出た瞬間、生活指導員に捕まり、年齢や学校名を執拗に訊かれたことも克明に覚えている(笑)。グランド・ファンク・レイルロードを聴くなら、まずは絶対本作だ。 |