
前回はみんなを30年も“昔”にタイム・ワープさせちゃったので、今回はグーッと“今”に引き戻し、欧米ロック界の最先端に立ち、活躍する、若く、イキのいいバンドに触れて欲しいと思う。それがこの、アメリカはフロリダ州タンパ産の6人組のアンダーオースで、5月に2枚目の『ゼイアー・オンリー・チェイシング・セイフティー』で正式な日本デビューを飾ったばかりだ。
フロリダって言やあ、“リタイアしたおジイちゃん、おバアちゃんの保養地”というイメージが強い。朝方海岸沿いを歩くと、おジイちゃんとおバアちゃんが仲よく手をつなぎつつ貝拾いをしている、なんていう光景によく出くわす。だけどその一方で、今から10年以上前、“デス・メタルの聖地”と言われたこともあるほど、しっかりした“ロックの土壌”を持つのも、また事実だ。彼らはそうした環境から飛び出してきたわけだけど、実はメンバー全員が敬虔なクリスチャンだ。ただ、解散してしまったクリードのような、何のアブなっかしさもない、人畜無害的バンドとは大違いで、彼らは音楽的にも存在的にも非常に刺激的で、スリリングだ。今、みんなに是非、注目して欲しいニューカマーの一つだ。
彼らの音楽性を一言で言うとするなら、いわゆる“スクリーモ”というジャンルが一番近いだろう。ハードコア、エモ、メタル、パンク・ロックや70年代ロックを通り、それぞれを吸収しながら消化し、独自の感性/感覚で混ぜ合わせた音楽であることが、本作を一聴すれば、すぐ分かる。曲中にメリとハリを効かせているから激しいところはとことん激しいけど、美しいところは美し過ぎるほどに美しいというふうに曲に“起承転結”が、そして音楽に“起伏”が明確にある。その上でスペンサー・チャンバーレイン(vo)による絶叫スクリームと、アーロン・ギレスピー(dr、vo)の美麗ヴォーカルが時に交錯し、時に一緒になって昇華しつつ、強靭なる初期衝動を間断なく放ってくるんだから、インパクト大だ。
これまでにライブをアメリカとイギリスで1度ずつ観戦したけど、彼らはもう、手が付けらんないくらいに勢いづき、強大なパワーとエネルギーを発していて、見ながら心も身体も完全に持っていかれていた。このライヴを是非とも日本でも披露して欲しいものだ。その前に音源を聴き、進んでトバされてみて欲しい。 |