総合TOP > お役立ちインデックス > OnGenアーカイブス > 音楽と人 POWER PUSH!! > 08/05/28 SPARTA LOCALS
今回で最終回となるこのコーナー、最後に紹介するのは個人的にも愛してやまないバンド、スパルタローカルズだ。本作『メロディ泥棒&ビート刑事(デカ)』は2007年5月にスパルタローカルズが日比谷野外音楽堂で行ったライブの模様を断片的に編集したライブアルバム。“断片”と書いたのは実際に演奏された楽曲の半分ほどしか収録されていないからで、本作が13曲に対して実際のライブは24曲。しかも途中で20分の休憩が入る奇妙な二部構成のライブだったのだが、そういった臨場感やドキュメント性などが残念ながら損なわれている。初回盤にはDVDが付いてるので数曲映像を観ることができるが、やはりライブを観た者にとっては全曲収録であのライブを追体験したいところだろう。しかしなぜここで本作を紹介するのかというと、単曲での購入が可能である配信システムによって、彼らをあまり良く知らないリスナーにむしろ知って欲しいから。名前だけは聞いたことがある、シングル曲は耳にしたことがあるという人たちが試しに一曲買っておきたいと思うなら、まずはこの作品からにして欲しい。 彼らがメジャーデビューを機に福岡から上京したのが2003年。当時のギターロック・ムーブメントの中でも、卓越したセンスと極上のメロディを併せ持つロックバンドとして注目を浴びたこのバンドの音楽性は、ボーカル&ギター・安部コウセイのパーソナリティによるところが大きい。もっと言ってしまうと彼らの音楽の魅力は安部コウセイの人間性そのものである。音楽を通じて彼は自分自身を表現し、自分をメッセージしているのだ。 彼は以前こう言っていた。『言いたいことがあるから歌にする。歌うことがあるから曲を書く。○○っぽい曲をやりたいとかこういう音楽を作りたいとかよりも』。だから彼が歌う歌はどれも感情的で、安易に聴き流すことはできない。曲と対峙した者に意見や反応を強く求めている。だから彼らの曲を良いと感じたら否応なくコウセイのことが好きになるだろうし、嫌いだと思えば彼に好感は持てないだろう。それぐらいパーソナリティを切り離すことのできない音楽なのだ。イコールそれは自分の存在を無視されたくない。たとえそれが否定でもいいから、俺のことを感じて欲しい。そうやって常に誰か他者の存在を求めているのだ。 だからホントはライブを観に行けばいい。でも、そんなフットワーク軽い人はすでに彼らのライブは確認済みだろう。ゆえに、この作品なのだ。『晴れたぞ??!!』というコウセイの第一声から始まるこのアルバムには、断片的とはいえ肉声と呼ぶべきコウセイのリアルが詰まっている。弱くて優しくて繊細で不器用で甘えん坊で、そんな彼のヒリヒリした感情がすべて音になっているだけでなく、音として表出される瞬間が立体的に聴こえてくる、そんな作品に収録された曲を試聴でもいいから聴いてみて欲しい。個人的なおすすめは「ばかやろう」だ。 樋口靖幸
一曲でもいいから聴いてみて欲しい…
今回で最終回となるこのコーナー、最後に紹介するのは個人的にも愛してやまないバンド、スパルタローカルズだ。本作『メロディ泥棒&ビート刑事(デカ)』は2007年5月にスパルタローカルズが日比谷野外音楽堂で行ったライブの模様を断片的に編集したライブアルバム。“断片”と書いたのは実際に演奏された楽曲の半分ほどしか収録されていないからで、本作が13曲に対して実際のライブは24曲。しかも途中で20分の休憩が入る奇妙な二部構成のライブだったのだが、そういった臨場感やドキュメント性などが残念ながら損なわれている。初回盤にはDVDが付いてるので数曲映像を観ることができるが、やはりライブを観た者にとっては全曲収録であのライブを追体験したいところだろう。しかしなぜここで本作を紹介するのかというと、単曲での購入が可能である配信システムによって、彼らをあまり良く知らないリスナーにむしろ知って欲しいから。名前だけは聞いたことがある、シングル曲は耳にしたことがあるという人たちが試しに一曲買っておきたいと思うなら、まずはこの作品からにして欲しい。
彼らがメジャーデビューを機に福岡から上京したのが2003年。当時のギターロック・ムーブメントの中でも、卓越したセンスと極上のメロディを併せ持つロックバンドとして注目を浴びたこのバンドの音楽性は、ボーカル&ギター・安部コウセイのパーソナリティによるところが大きい。もっと言ってしまうと彼らの音楽の魅力は安部コウセイの人間性そのものである。音楽を通じて彼は自分自身を表現し、自分をメッセージしているのだ。
彼は以前こう言っていた。『言いたいことがあるから歌にする。歌うことがあるから曲を書く。○○っぽい曲をやりたいとかこういう音楽を作りたいとかよりも』。だから彼が歌う歌はどれも感情的で、安易に聴き流すことはできない。曲と対峙した者に意見や反応を強く求めている。だから彼らの曲を良いと感じたら否応なくコウセイのことが好きになるだろうし、嫌いだと思えば彼に好感は持てないだろう。それぐらいパーソナリティを切り離すことのできない音楽なのだ。イコールそれは自分の存在を無視されたくない。たとえそれが否定でもいいから、俺のことを感じて欲しい。そうやって常に誰か他者の存在を求めているのだ。
だからホントはライブを観に行けばいい。でも、そんなフットワーク軽い人はすでに彼らのライブは確認済みだろう。ゆえに、この作品なのだ。『晴れたぞ??!!』というコウセイの第一声から始まるこのアルバムには、断片的とはいえ肉声と呼ぶべきコウセイのリアルが詰まっている。弱くて優しくて繊細で不器用で甘えん坊で、そんな彼のヒリヒリした感情がすべて音になっているだけでなく、音として表出される瞬間が立体的に聴こえてくる、そんな作品に収録された曲を試聴でもいいから聴いてみて欲しい。個人的なおすすめは「ばかやろう」だ。
樋口靖幸