総合TOP > リコメンドインデックス > 音楽と人 POWER PUSH!! > 08/02/13 ガガガSP
某自動車TVCMでのカバーナンバーも話題の4人組、ガガガSP(現在、OA中の楽曲の正式なアーティスト名義はガガガDX=ガガガSP+メガマサヒデ+森田 from セックスマシーン。先日、ミュージックステーションにも出演!)。去年、メジャーから再び活動の場をインディーズに移した彼ら。みずからのレーベル“俺様レコード”を設立し、そこからの初リリースとなった音源が、4曲入りのシングル「神戸駅」だ。新たな門出をみずから祝すかのように、ガガガSPの地元であり、メンバーが現在も生活している町を、そのタイトルにしたこの曲は、今はもう自分のそばに居ない女の子を思う、ちょっぴり情けない男の歌、である。そう、ガガガSPの歌には、〈どこか情けない男〉がいる。彼らの初音源であり1stアルバム『ガガガSP登場』に収録されている「京子ちゃん」しかり、メジャーデビュー作となった「卒業」しかり。転校してしまう大好きな女の子に告白する勇気もない男の子の思いを切々と歌った「京子ちゃん」。〈僕はむかしをひきずりたくない〉から〈僕は君を卒業するよ 切ない気持ちとともに〉という「卒業」。初期の彼らの楽曲には、必ず〈情けない男〉のありのままの思いが描かれていた。そういう意味でも、このシングル「神戸駅」にある世界は、ガガガSPの本髄を感じさせるものとなっている。 97年、神戸で結成されたガガガSP。もともとは、フロントマンであるコザック前田と、もうひとりのフォーク的アプローチの弾き語りユニットからスタートするも、途中、ハードコア・スタイルを目指しバンド編成へと変化。そして試行錯誤をしながら、現在に通じる音楽性…70年代フォークとパンクロックの融合…を確立させていった。幾度かのメンバーチェンジの末、現在の布陣となり、2000年12月シングル「京子ちゃん」を、翌年1月には、1stアルバム『ガガガSP登場』をリリース。そして02年には、シングル「卒業」でメジャーデビューを果たすのだが、その後バンドは紆余曲折の道のりを歩む。 いつしか日本語で歌うパンク・バンドのことが“青春パンク”と称されるようになり、東京で結成されたGOING STEADY(03年解散。ギター以外のメンバーは現在、銀杏BOYZとして活動中)とともに、ガガガSPは新たなシーンの中心バンドとして祭り上げられてしまう。そんななか、03年には『オラぁいちぬけた』という、シーンへの決別を現したタイトルを冠したアルバムを発表。その後、フロントマン・コザック前田は、泉谷しげるとのユニットを結成したり、トータス松本やYO-KING、峯田和伸やまだ当時あまり知られた存在ではなかったサンボマスターをゲストに迎えたソロアルバムを制作し、みずからのルーツであるフォークへのアプローチを強めていった。今思えばそれは、“青春パンク”という呪縛から逃れようと必死になっていたからこその流れだったのかもしれない。そして、様々なしがらみのなかで音楽をやっていくことに対する、自分のなかでのバランスをとろうともしていたのだろう。メジャーで発表されたコザック前田の楽曲には、情けなくも愛すべき男の姿は影を潜め、世の中に対する憤りや人生に対する諦めなどを綴った歌詞が多くなっていった。そして結果的には、通算4枚目となるアルバム発表直前にコザック前田は、心身のバランスを崩し、しばしバンド活動を休止させることになるのだが、心機一転となるシングル「神戸駅」には、かつてのような〈情けない男〉がまた登場するようになった。原点回帰、というよりは、音楽にまつわる様々なことに翻弄されてきた彼らが、本来の自分たちのペースを、そして迷いなきガガガSPの音楽を再び手に入れた、というべきだろう。この4曲入りシングル「神戸駅」で、本当の意味での復活ののろしをあげたのだ。 そして、そのことをさらに雄弁に物語っているのが、今年2月5日にリリースされたニューアルバム『声に出すと赤っ恥』。「神戸駅」を聴いて、興味を持った方はぜひこの作品も手にとってほしいと思う。 平林道子
迷いなきガガガSPのシングル「神戸駅」
某自動車TVCMでのカバーナンバーも話題の4人組、ガガガSP(現在、OA中の楽曲の正式なアーティスト名義はガガガDX=ガガガSP+メガマサヒデ+森田 from セックスマシーン。先日、ミュージックステーションにも出演!)。去年、メジャーから再び活動の場をインディーズに移した彼ら。みずからのレーベル“俺様レコード”を設立し、そこからの初リリースとなった音源が、4曲入りのシングル「神戸駅」だ。新たな門出をみずから祝すかのように、ガガガSPの地元であり、メンバーが現在も生活している町を、そのタイトルにしたこの曲は、今はもう自分のそばに居ない女の子を思う、ちょっぴり情けない男の歌、である。そう、ガガガSPの歌には、〈どこか情けない男〉がいる。彼らの初音源であり1stアルバム『ガガガSP登場』に収録されている「京子ちゃん」しかり、メジャーデビュー作となった「卒業」しかり。転校してしまう大好きな女の子に告白する勇気もない男の子の思いを切々と歌った「京子ちゃん」。〈僕はむかしをひきずりたくない〉から〈僕は君を卒業するよ 切ない気持ちとともに〉という「卒業」。初期の彼らの楽曲には、必ず〈情けない男〉のありのままの思いが描かれていた。そういう意味でも、このシングル「神戸駅」にある世界は、ガガガSPの本髄を感じさせるものとなっている。
97年、神戸で結成されたガガガSP。もともとは、フロントマンであるコザック前田と、もうひとりのフォーク的アプローチの弾き語りユニットからスタートするも、途中、ハードコア・スタイルを目指しバンド編成へと変化。そして試行錯誤をしながら、現在に通じる音楽性…70年代フォークとパンクロックの融合…を確立させていった。幾度かのメンバーチェンジの末、現在の布陣となり、2000年12月シングル「京子ちゃん」を、翌年1月には、1stアルバム『ガガガSP登場』をリリース。そして02年には、シングル「卒業」でメジャーデビューを果たすのだが、その後バンドは紆余曲折の道のりを歩む。
いつしか日本語で歌うパンク・バンドのことが“青春パンク”と称されるようになり、東京で結成されたGOING STEADY(03年解散。ギター以外のメンバーは現在、銀杏BOYZとして活動中)とともに、ガガガSPは新たなシーンの中心バンドとして祭り上げられてしまう。そんななか、03年には『オラぁいちぬけた』という、シーンへの決別を現したタイトルを冠したアルバムを発表。その後、フロントマン・コザック前田は、泉谷しげるとのユニットを結成したり、トータス松本やYO-KING、峯田和伸やまだ当時あまり知られた存在ではなかったサンボマスターをゲストに迎えたソロアルバムを制作し、みずからのルーツであるフォークへのアプローチを強めていった。今思えばそれは、“青春パンク”という呪縛から逃れようと必死になっていたからこその流れだったのかもしれない。そして、様々なしがらみのなかで音楽をやっていくことに対する、自分のなかでのバランスをとろうともしていたのだろう。メジャーで発表されたコザック前田の楽曲には、情けなくも愛すべき男の姿は影を潜め、世の中に対する憤りや人生に対する諦めなどを綴った歌詞が多くなっていった。そして結果的には、通算4枚目となるアルバム発表直前にコザック前田は、心身のバランスを崩し、しばしバンド活動を休止させることになるのだが、心機一転となるシングル「神戸駅」には、かつてのような〈情けない男〉がまた登場するようになった。原点回帰、というよりは、音楽にまつわる様々なことに翻弄されてきた彼らが、本来の自分たちのペースを、そして迷いなきガガガSPの音楽を再び手に入れた、というべきだろう。この4曲入りシングル「神戸駅」で、本当の意味での復活ののろしをあげたのだ。
そして、そのことをさらに雄弁に物語っているのが、今年2月5日にリリースされたニューアルバム『声に出すと赤っ恥』。「神戸駅」を聴いて、興味を持った方はぜひこの作品も手にとってほしいと思う。
平林道子