総合TOP > リコメンドインデックス > 音楽と人 POWER PUSH!! > 07/11/14 HARRY HOSONO & THE WORLD SHYNESS
細野晴臣ソロ・ユニット名義による本作『FLYING SAUCER 1947』は、1940年代のアメリカを象徴するカントリー/ウエスタン・ポップスのカバーと、細野自身のソロ曲のセルフカバーで構成されている異色作だ。彼がこのようなソロ・ユニット名義でアルバムをリリースすることになったのは、この発売からおよそ2年前…2005年9月に狭山稲荷山公園で行われたハイド・パーク・フェスティバル2005への出演がひとつのきっかけとなっている。 1973年に彼が作ったソロアルバム『HOSONO HOUSE』は、当時彼が埼玉県狭山市のアメリカ村の自宅で録音した作品である。このことからフェス主催者は細野に出演を依頼し、細野はそのステージにて『HOSONO HOUSE』以降にリリースされ後にトロピカル三部作と呼ばれる「トロピカル・ダンディー」『泰安洋行』『はらいそ』などのソロ作の曲を中心に披露した。このハイド・パーク・フェスティバルでのライブがきっかけとなり、以降の彼はフェスのステージで共演したメンバーらを中心に結成した“東京シャイネス”とともにツアーを敢行し、その模様を収めたLIVE DVDもリリース。さらには“ハリー・ホソノ・クインテッド”というユニット名義でフジロック・フェスティバルにも出演するなど、細野のソロ作品を改めて耳にする機会が増えていく中、このアルバムは制作された。 彼の長い活動においてバンド・サウンドでのレコーディングは30年以上ぶりのことで、しかもほぼ一発録りである。それゆえかここでメロディを紡ぐ細野の声はどこか軽やかでリラックスしていて、サウンド的にも暖かみに溢れていて生々しい。そして自身が選曲したカバー曲は、古き良きアメリカの時代を偲ばせる牧歌的な歌ばかり。還暦を迎えた彼が、子供のように音楽と戯れている姿が見えて来るのだ。 しかし、この作品にはそれだけで完結しないメッセージが見え隠れする。タイトルの『FLYING SAUCER 1947』とは細野の誕生年である1947年にアメリカ・ニューメキシコ州の米軍基地近くで円盤らしき物体が墜落する事件(通称ロズウェル事件)を指している。作品はその事件をモチーフにしたわけではないが、そこには1940年代という日本ではあまり一般的ではない当時のアメリカン・ポップスを彼がここでカバーする意味と行動原理がそこには込められていると言っていい。音楽という薮の中から社会を睨み続けることで日本のポップスを担って来た彼が、一見緩やかで温和な作品の中で吐き出したかったことは何なのか。ぜひそれを楽曲を聴いて確認して欲しい。 樋口靖幸
吐き出したかったことは何なのか
細野晴臣ソロ・ユニット名義による本作『FLYING SAUCER 1947』は、1940年代のアメリカを象徴するカントリー/ウエスタン・ポップスのカバーと、細野自身のソロ曲のセルフカバーで構成されている異色作だ。彼がこのようなソロ・ユニット名義でアルバムをリリースすることになったのは、この発売からおよそ2年前…2005年9月に狭山稲荷山公園で行われたハイド・パーク・フェスティバル2005への出演がひとつのきっかけとなっている。
1973年に彼が作ったソロアルバム『HOSONO HOUSE』は、当時彼が埼玉県狭山市のアメリカ村の自宅で録音した作品である。このことからフェス主催者は細野に出演を依頼し、細野はそのステージにて『HOSONO HOUSE』以降にリリースされ後にトロピカル三部作と呼ばれる「トロピカル・ダンディー」『泰安洋行』『はらいそ』などのソロ作の曲を中心に披露した。このハイド・パーク・フェスティバルでのライブがきっかけとなり、以降の彼はフェスのステージで共演したメンバーらを中心に結成した“東京シャイネス”とともにツアーを敢行し、その模様を収めたLIVE DVDもリリース。さらには“ハリー・ホソノ・クインテッド”というユニット名義でフジロック・フェスティバルにも出演するなど、細野のソロ作品を改めて耳にする機会が増えていく中、このアルバムは制作された。
彼の長い活動においてバンド・サウンドでのレコーディングは30年以上ぶりのことで、しかもほぼ一発録りである。それゆえかここでメロディを紡ぐ細野の声はどこか軽やかでリラックスしていて、サウンド的にも暖かみに溢れていて生々しい。そして自身が選曲したカバー曲は、古き良きアメリカの時代を偲ばせる牧歌的な歌ばかり。還暦を迎えた彼が、子供のように音楽と戯れている姿が見えて来るのだ。
しかし、この作品にはそれだけで完結しないメッセージが見え隠れする。タイトルの『FLYING SAUCER 1947』とは細野の誕生年である1947年にアメリカ・ニューメキシコ州の米軍基地近くで円盤らしき物体が墜落する事件(通称ロズウェル事件)を指している。作品はその事件をモチーフにしたわけではないが、そこには1940年代という日本ではあまり一般的ではない当時のアメリカン・ポップスを彼がここでカバーする意味と行動原理がそこには込められていると言っていい。音楽という薮の中から社会を睨み続けることで日本のポップスを担って来た彼が、一見緩やかで温和な作品の中で吐き出したかったことは何なのか。ぜひそれを楽曲を聴いて確認して欲しい。
樋口靖幸