総合TOP > リコメンドインデックス > 音楽と人 POWER PUSH!! > 07/07/25 KEMURI
90年代に入りアメリカで起こったスカパンク・ムーブメントに呼応するかのように、1994〜95年頃から東京を中心にスカパンク・バンドが産声をあげはじめた。そして、ちょうどAIR JAMに代表されるパンク・シーンの盛り上がりとともに、日本におけるスカパンクもひとつのシーンを形成していったのだが、95年に結成されたKEMURIは常にそのシーンを牽引してきたバンドである。 スカ特有のリズムが生み出す高揚感と、パンクのアグレッシヴさとキャッチーで親和性の高いメロディ。その絶妙なバランスの上で鳴らされている音楽が作るあたたかい空気が、スカパンクのライブにはあった。そして、KEMURIというバンドを語る際に切っても切れない言葉…肯定的精神姿勢という意味を持つ〈P.M.A.=positive mental attitude〉というメッセージは、迷いなき力強さを持ったフミオの歌声と相まって、まっすぐに聴き手の胸に届き、多くの(あえてこの言葉を使うが)キッズたちに支持されていった。自分たちの現実の生活はどうであれ、音楽というものが人生や心を潤す素敵なツールであることを強く感じさせてくれたKEMURIの音楽から、人によっては希望を、人によっては勇気を受け取ったのだ。 そして03年。活動の場をメジャーに移し、シングル「葉月の海」のリリース後に行われた〈TYPHOON〉ツアーで、バンドは悲劇に見舞われる。ツアーの移動中に起きた交通事故によるメンバーの死。それは、ツアーバンドである以上、背中合わせでついてまわる残酷な現実でもあった。同じ事故で重傷を負ったメンバーの回復を待ちながら、その後バンドは無期限の活動停止状態に入った。だが、約1年後。彼らはまたステージに帰ってきた。どうにもならない虚しさと悲しみから、再び彼らを動かしたのは、やはりPMAという考えだった、はずだ。そして復活のライブで見た彼らの、今まで貫いてきた揺ぎなき姿勢には、ある種の凄みさえあった。でもやっぱりKEMURIの音楽は、変わらぬ笑顔で両手を広げて聴き手を迎え入れてくれたのも、また事実だ。 そんな彼らが07年12月9日のライブをもって解散する。そのことが発表されたのは今年のはじめ。ニューアルバムにしてラストアルバムとなった、この『our PMA』のアメリカレコーディング直前のことだ。 2年前のPOTSHOTに続き、またひとつ日本を代表するスカパンク・バンドが解散してしまうことは正直寂しい。しかし、これも彼らが選んだ道。この作品に収録されている「Umi ni saku nami」にはこんなフレーズがある。〈旅の終わりはいつも 新しい旅のはじまり〉──そう。つまりはそういうことなのだ。〈our PMA〉=自分たちなりのPMAを胸に進み続ければいい。そんなメッセージがこのラストアルバムには込められている。 平林道子
ラストアルバムに込められたメッセージ
90年代に入りアメリカで起こったスカパンク・ムーブメントに呼応するかのように、1994〜95年頃から東京を中心にスカパンク・バンドが産声をあげはじめた。そして、ちょうどAIR JAMに代表されるパンク・シーンの盛り上がりとともに、日本におけるスカパンクもひとつのシーンを形成していったのだが、95年に結成されたKEMURIは常にそのシーンを牽引してきたバンドである。
スカ特有のリズムが生み出す高揚感と、パンクのアグレッシヴさとキャッチーで親和性の高いメロディ。その絶妙なバランスの上で鳴らされている音楽が作るあたたかい空気が、スカパンクのライブにはあった。そして、KEMURIというバンドを語る際に切っても切れない言葉…肯定的精神姿勢という意味を持つ〈P.M.A.=positive mental attitude〉というメッセージは、迷いなき力強さを持ったフミオの歌声と相まって、まっすぐに聴き手の胸に届き、多くの(あえてこの言葉を使うが)キッズたちに支持されていった。自分たちの現実の生活はどうであれ、音楽というものが人生や心を潤す素敵なツールであることを強く感じさせてくれたKEMURIの音楽から、人によっては希望を、人によっては勇気を受け取ったのだ。
そして03年。活動の場をメジャーに移し、シングル「葉月の海」のリリース後に行われた〈TYPHOON〉ツアーで、バンドは悲劇に見舞われる。ツアーの移動中に起きた交通事故によるメンバーの死。それは、ツアーバンドである以上、背中合わせでついてまわる残酷な現実でもあった。同じ事故で重傷を負ったメンバーの回復を待ちながら、その後バンドは無期限の活動停止状態に入った。だが、約1年後。彼らはまたステージに帰ってきた。どうにもならない虚しさと悲しみから、再び彼らを動かしたのは、やはりPMAという考えだった、はずだ。そして復活のライブで見た彼らの、今まで貫いてきた揺ぎなき姿勢には、ある種の凄みさえあった。でもやっぱりKEMURIの音楽は、変わらぬ笑顔で両手を広げて聴き手を迎え入れてくれたのも、また事実だ。
そんな彼らが07年12月9日のライブをもって解散する。そのことが発表されたのは今年のはじめ。ニューアルバムにしてラストアルバムとなった、この『our PMA』のアメリカレコーディング直前のことだ。
2年前のPOTSHOTに続き、またひとつ日本を代表するスカパンク・バンドが解散してしまうことは正直寂しい。しかし、これも彼らが選んだ道。この作品に収録されている「Umi ni saku nami」にはこんなフレーズがある。〈旅の終わりはいつも 新しい旅のはじまり〉──そう。つまりはそういうことなのだ。〈our PMA〉=自分たちなりのPMAを胸に進み続ければいい。そんなメッセージがこのラストアルバムには込められている。
平林道子