総合TOP > リコメンドインデックス > 音楽と人 POWER PUSH!! > 07/07/11 9mm Parabellum Bullet
9mm Parabellum Bullet(キューミリ・パラベラム・バレット)、今年、もっとも大きな期待を持って迎えられたニューカマーだ。 まずライブの圧倒的な激しさである。その激しさは、メンバーに幾度か負傷を強いたほどに激しい。あまりにも激しくステージを動き回ったためのメンバー同士の激突、あまりにもギターを激しくブン回したための流血など、その手のエピソードにはことかかない。初めて彼らのライブを観るものは、まずその激しさにやられてしまうことと思う。 しかし、そしてもちろん、それがすべてではない。聴くほどに観るほどに、その激しさは瑣末なものと思えてしまうほどに、このバンドは豊かだ。 これだけ激しいライブをやっているにもかかわらず、うまさを感じるのだ。メンバー全員の演奏力は若手とは思えぬほどに高い。菅原(vo&g)、滝(g)、中村 和彦(b)、かみじょう(dr)、4人の血が出るほどの(この表現、このバンドはあんまり比喩にならないのが面白いね)努力を感じる。そしてその努力が、彼らの音楽性を支えているのを感じる。 彼らはメタル、ハードコア、エモ、メロディック・パンクと言ったさまざまな音楽のエッセンスを飲み込み、ミックスするタイプのバンドだ。しかし、その飲み込み方とミックスの仕方が、とても自然なのだ。その自然さに“新世代”を感じる(そして、それを自然に鳴らせるまでに至った、彼らの「血が出るほどの」努力も)。これまでのミクスチャーが、「これとこれを“こうやって”混ぜて鳴らしてみよう」という果てしない試行錯誤の歴史であったとするならば、9mmはその先達の試行錯誤の歴史が生み出した金の卵である(9mm自身も、日本のロックを支えてきたバンドたちへの尊敬の思いは非常に高い)。 そんな暴走する金の卵だが、ステージを降りれば、街で目立つタイプではなく、街に溶けていくタイプの若者たちだ。びっくりするほどシャイで繊細でやさしい若者たちである。ただ、そういった彼らの性格やたたずまいは、ステージとそれ以外でぱっくりと切り分けられているものではなく、菅原の「歌」という形で9mmの音楽に入り込んでいる。ライブは勇ましいが、メロディはとても切なく、やさしい。歌詞は、少年から青年にいたるまでに多くの者が向き合う孤独、やるせなさ、絶望でしきつめられているのだ。 激しさに呼応して暴れるか、あまりの激しさに笑ってしまうか、切なさにそっと涙するか、共振してともに歌うか。どれをやっても楽しいはずだ。今年最大の期待を集めるニューカマーは、これほどまでに深く、豊かだ。 この『The World e.p.』は、彼らが自主制作でリリースした2枚のCDからセレクトした5曲を新録、そして新曲「The World」、「Heat-Island」を収録したプレデビュー盤である。是非聴いてほしい。 柳憲一郎
激しいライブが魅力だが、それが全てじゃ全くない
9mm Parabellum Bullet(キューミリ・パラベラム・バレット)、今年、もっとも大きな期待を持って迎えられたニューカマーだ。
まずライブの圧倒的な激しさである。その激しさは、メンバーに幾度か負傷を強いたほどに激しい。あまりにも激しくステージを動き回ったためのメンバー同士の激突、あまりにもギターを激しくブン回したための流血など、その手のエピソードにはことかかない。初めて彼らのライブを観るものは、まずその激しさにやられてしまうことと思う。 しかし、そしてもちろん、それがすべてではない。聴くほどに観るほどに、その激しさは瑣末なものと思えてしまうほどに、このバンドは豊かだ。
これだけ激しいライブをやっているにもかかわらず、うまさを感じるのだ。メンバー全員の演奏力は若手とは思えぬほどに高い。菅原(vo&g)、滝(g)、中村 和彦(b)、かみじょう(dr)、4人の血が出るほどの(この表現、このバンドはあんまり比喩にならないのが面白いね)努力を感じる。そしてその努力が、彼らの音楽性を支えているのを感じる。
彼らはメタル、ハードコア、エモ、メロディック・パンクと言ったさまざまな音楽のエッセンスを飲み込み、ミックスするタイプのバンドだ。しかし、その飲み込み方とミックスの仕方が、とても自然なのだ。その自然さに“新世代”を感じる(そして、それを自然に鳴らせるまでに至った、彼らの「血が出るほどの」努力も)。これまでのミクスチャーが、「これとこれを“こうやって”混ぜて鳴らしてみよう」という果てしない試行錯誤の歴史であったとするならば、9mmはその先達の試行錯誤の歴史が生み出した金の卵である(9mm自身も、日本のロックを支えてきたバンドたちへの尊敬の思いは非常に高い)。
そんな暴走する金の卵だが、ステージを降りれば、街で目立つタイプではなく、街に溶けていくタイプの若者たちだ。びっくりするほどシャイで繊細でやさしい若者たちである。ただ、そういった彼らの性格やたたずまいは、ステージとそれ以外でぱっくりと切り分けられているものではなく、菅原の「歌」という形で9mmの音楽に入り込んでいる。ライブは勇ましいが、メロディはとても切なく、やさしい。歌詞は、少年から青年にいたるまでに多くの者が向き合う孤独、やるせなさ、絶望でしきつめられているのだ。
激しさに呼応して暴れるか、あまりの激しさに笑ってしまうか、切なさにそっと涙するか、共振してともに歌うか。どれをやっても楽しいはずだ。今年最大の期待を集めるニューカマーは、これほどまでに深く、豊かだ。
この『The World e.p.』は、彼らが自主制作でリリースした2枚のCDからセレクトした5曲を新録、そして新曲「The World」、「Heat-Island」を収録したプレデビュー盤である。是非聴いてほしい。
柳憲一郎