総合TOP > お役立ちインデックス > OnGenアーカイブス > 音楽と人 POWER PUSH!! > 07/06/27 ムック
ムックの歴史において極めて重要かつ大きな意味を持つアルバムである。 本作は2001年1月にリリースされたアルバムを2002年6月に彼らのレーベル“朱”より再リリースしたもので、インディーズ時代のムックの認知度を飛躍的に高めた作品であると同時に、音楽が自分にとってどのような存在であるかをバンド自身が自覚するきっかけとなった一枚である。 『痛絶』とはもちろん彼らの造語である。安易にその作品を聴かれることを拒絶するような痛々しいタイトルが想起させるのは、絶望、痛み、悲しみ、死。そんな出口も光もない無明界とも言うべき場所で鳴らされるのはKORNやSLIPKNOTから影響を受けたへヴィーロックだ。しかしながら歌が綴るメロディはフォーク調であるだけでなく歌詞は全編日本語(一切の英語が使われていない)である。へヴィーロックとフォーク。その意外なマッチングは、まったく聴いたことのない新しいロックとしてのインパクトを持っていた。 そして、本作のラストには「断絶」という曲が収録されている。これはギターのミヤが少年時代に父を失った時のエピソードとその心象風景を描いた悲しい歌で、ここに刻まれた思いはヒリヒリするほどリアルで重苦しいものだ。そしてミヤは、当時この曲をライブでやりながら泣いてしまったという。レコーディング中には自分にとってどれだけ大事な歌であるかさほど気づくこともなかったのだが、人前で披露している最中にそのことに気づいてしまい思わず涙をこぼしてしまったのだ。 自分の中で澱のように溜め込んでいた思いを吐き出すこと、その思いを解放してやること。普段からあまり感情を表に出さないミヤが自ら作った歌に促されて涙を流したという事実は、彼にとって音楽がなんであるのかを知ることとなり、この「断絶」をきっかけとして、ムックはリアルな感情を歌に刻みつけるバンドとしての歩みをスタートさせたのだ。 結成して10年、このアルバムから6年。現在、「謳声(ウタゴエ)」や「優しい歌」といった愛の賛歌とも言うべきポジティブな感情をストレートに伝えることができるリアルなバンドとして成長したのは、このアルバムでムックがリアルな感情を刻みつけることができたからであると言ってもいいだろう。ちなみに、先日リリースされた2枚のベスト盤、その一枚である『WORST OF MUCC』にも「断絶」は収録されている。 樋口靖幸
大きな意味を持つアルバム
ムックの歴史において極めて重要かつ大きな意味を持つアルバムである。
本作は2001年1月にリリースされたアルバムを2002年6月に彼らのレーベル“朱”より再リリースしたもので、インディーズ時代のムックの認知度を飛躍的に高めた作品であると同時に、音楽が自分にとってどのような存在であるかをバンド自身が自覚するきっかけとなった一枚である。
『痛絶』とはもちろん彼らの造語である。安易にその作品を聴かれることを拒絶するような痛々しいタイトルが想起させるのは、絶望、痛み、悲しみ、死。そんな出口も光もない無明界とも言うべき場所で鳴らされるのはKORNやSLIPKNOTから影響を受けたへヴィーロックだ。しかしながら歌が綴るメロディはフォーク調であるだけでなく歌詞は全編日本語(一切の英語が使われていない)である。へヴィーロックとフォーク。その意外なマッチングは、まったく聴いたことのない新しいロックとしてのインパクトを持っていた。
そして、本作のラストには「断絶」という曲が収録されている。これはギターのミヤが少年時代に父を失った時のエピソードとその心象風景を描いた悲しい歌で、ここに刻まれた思いはヒリヒリするほどリアルで重苦しいものだ。そしてミヤは、当時この曲をライブでやりながら泣いてしまったという。レコーディング中には自分にとってどれだけ大事な歌であるかさほど気づくこともなかったのだが、人前で披露している最中にそのことに気づいてしまい思わず涙をこぼしてしまったのだ。
自分の中で澱のように溜め込んでいた思いを吐き出すこと、その思いを解放してやること。普段からあまり感情を表に出さないミヤが自ら作った歌に促されて涙を流したという事実は、彼にとって音楽がなんであるのかを知ることとなり、この「断絶」をきっかけとして、ムックはリアルな感情を歌に刻みつけるバンドとしての歩みをスタートさせたのだ。
結成して10年、このアルバムから6年。現在、「謳声(ウタゴエ)」や「優しい歌」といった愛の賛歌とも言うべきポジティブな感情をストレートに伝えることができるリアルなバンドとして成長したのは、このアルバムでムックがリアルな感情を刻みつけることができたからであると言ってもいいだろう。ちなみに、先日リリースされた2枚のベスト盤、その一枚である『WORST OF MUCC』にも「断絶」は収録されている。
樋口靖幸