総合TOP > お役立ちインデックス > OnGenアーカイブス > 音楽と人 POWER PUSH!! > 06/12/13 ヌンチャク
“柏ハードコア”。90年代中盤にラウド・ロック好きであったかたならよく知っているだろう。いや、柏以外で盛り上がっていなかったわけではないけれど、盛り上がっている時代だったわけだけれど、柏があまりに突出した盛り上がりを見せていたゆえの言葉である。そしてその盛り上がりの中核をなしていたのが、このヌンチャクだった。 それはもう人気のバンドだった。低音の巨漢MCと高音の細身なMC、見事に魅力が真っ二つにわかれた個性的2MCのかけあいがもう絶妙(“発狂したジャイアンとスネオ”、なる名キャッチがあったほどだった)。ユーモア・センスもすさまじい。「人情ヴァイオレンス」「スポーツ助け船」「ポックリ貫禄」という曲タイトルは意味不明なれど、漢字+カタカナの字面の不思議さと語感の良さで笑ってしまうし一度聴いたら忘れられない。さらには3枚目にしてラスト・アルバムとなったこの『都部ふぶく』ではメロディ・センスの良さすらも垣間見せていた。むちゃくちゃに楽しいバンドだったのである。 こうしてわざとポップな側面を書き連ねてみると、現在の日本のポップで楽しいミクスチャー・バンド的たたずまいをうっかり想像したくなるのだが、かなり違う。 この圧倒的な楽しさの裏側に、すさまじい殺伐さがあって、その殺伐さが楽しさ以上の魅力だったのだ。彼ら、タイトルもそうだけれど、歌詞も意味不明のものが多い。たとえば“ムラケン家の窓から見えるララライ 都部がふぶく”という詞を見て一発で理解できる人は少ないだろう。ちなみにアルバムタイトルの“都部(いちぶ)”はボーカルの住む安孫子市の地名であるそうだ。東葛住民でしかわからないフレーズがあり、さらに東葛に住む彼らの仲間うちでしか通らないであろうフレーズがある。意味が一番取れる詞は下ネタである(あえて歌詞の引用はやめとくが、過去には「マラダイス」「アナル窒息」なるタイトルの曲があった。これだけですさまじさは理解していただけると思う)。 笑いは絶えない。仲間内のばかなギャグとエロトーク。もちろん周囲にはわかってもらわんでも一向に構わない、俺たちは俺たちだから――って感じ。で、外から見るとすさまじく殺伐としていて、投げやりで、全身から“ケッ”というオーラを放っているようにみえる。モメ事も時々アリ――そんなふうにしてつるんでいる、少々荒っぽくもどこかチャーミングな若いヤローたち。ヌンチャクはその感覚そのものみたいなバンドだった。だからトリコになった若いヤローどもが多かったんだと思う。 彼らは93年に結成して4年ほど活動して、あっさり解散してしまった。解散の理由が“飽きたから”らしいという話を聞いた時、何故かものすごく納得した記憶がある。この投げやりな感じ、ヌンチャクそのもの、つまり、若いヤローどもそのものだったから。 リリースされてから10年が経とうとする作品である。しかし今でもどこかのライブハウスでこうして殺伐としている若いヤローたちがいるだろう。ステージにも、フロアにも。不遜で殺伐で笑える、若いヤローたちのそんなむちゃくちゃさは永遠なのだ。このアルバムもそうだ。 柳憲一郎
“柏ハードコア”。90年代中盤にラウド・ロック好きであったかたならよく知っているだろう。いや、柏以外で盛り上がっていなかったわけではないけれど、盛り上がっている時代だったわけだけれど、柏があまりに突出した盛り上がりを見せていたゆえの言葉である。そしてその盛り上がりの中核をなしていたのが、このヌンチャクだった。
それはもう人気のバンドだった。低音の巨漢MCと高音の細身なMC、見事に魅力が真っ二つにわかれた個性的2MCのかけあいがもう絶妙(“発狂したジャイアンとスネオ”、なる名キャッチがあったほどだった)。ユーモア・センスもすさまじい。「人情ヴァイオレンス」「スポーツ助け船」「ポックリ貫禄」という曲タイトルは意味不明なれど、漢字+カタカナの字面の不思議さと語感の良さで笑ってしまうし一度聴いたら忘れられない。さらには3枚目にしてラスト・アルバムとなったこの『都部ふぶく』ではメロディ・センスの良さすらも垣間見せていた。むちゃくちゃに楽しいバンドだったのである。
こうしてわざとポップな側面を書き連ねてみると、現在の日本のポップで楽しいミクスチャー・バンド的たたずまいをうっかり想像したくなるのだが、かなり違う。
この圧倒的な楽しさの裏側に、すさまじい殺伐さがあって、その殺伐さが楽しさ以上の魅力だったのだ。彼ら、タイトルもそうだけれど、歌詞も意味不明のものが多い。たとえば“ムラケン家の窓から見えるララライ 都部がふぶく”という詞を見て一発で理解できる人は少ないだろう。ちなみにアルバムタイトルの“都部(いちぶ)”はボーカルの住む安孫子市の地名であるそうだ。東葛住民でしかわからないフレーズがあり、さらに東葛に住む彼らの仲間うちでしか通らないであろうフレーズがある。意味が一番取れる詞は下ネタである(あえて歌詞の引用はやめとくが、過去には「マラダイス」「アナル窒息」なるタイトルの曲があった。これだけですさまじさは理解していただけると思う)。
笑いは絶えない。仲間内のばかなギャグとエロトーク。もちろん周囲にはわかってもらわんでも一向に構わない、俺たちは俺たちだから――って感じ。で、外から見るとすさまじく殺伐としていて、投げやりで、全身から“ケッ”というオーラを放っているようにみえる。モメ事も時々アリ――そんなふうにしてつるんでいる、少々荒っぽくもどこかチャーミングな若いヤローたち。ヌンチャクはその感覚そのものみたいなバンドだった。だからトリコになった若いヤローどもが多かったんだと思う。
彼らは93年に結成して4年ほど活動して、あっさり解散してしまった。解散の理由が“飽きたから”らしいという話を聞いた時、何故かものすごく納得した記憶がある。この投げやりな感じ、ヌンチャクそのもの、つまり、若いヤローどもそのものだったから。
リリースされてから10年が経とうとする作品である。しかし今でもどこかのライブハウスでこうして殺伐としている若いヤローたちがいるだろう。ステージにも、フロアにも。不遜で殺伐で笑える、若いヤローたちのそんなむちゃくちゃさは永遠なのだ。このアルバムもそうだ。
柳憲一郎