KREVAは非常に優秀なトラック・メーカーである。
それはKICK THE CAN KREW(活動休止中)の頃から顕著に表れていたけれど、ソロとして活動の幅を広げていく中で、そのセンスを強力に発揮し始めた。そしてそれは、自然に彼自身のリリックも変化させていくことになった。
まず、そのあまりにもシンプルなトラックで、メロディのセンスと普遍性を強く感じさせた「希望の炎」から彼のソロはスタートする。続くファースト・アルバム『新人クレバ』は、盟友CUEZEROやボニーピンク、Mummy-Dといったメンツがフィーチャーされているものの、基本的にひとりでレコーディングしたこともあってか、内を向いたエネルギーが強い。彼の中にずっとある、孤独感みたいなものが見え隠れする。徹底して音数もそぎ落とした結果、彼の生身を強烈に感じる作品となっていた。
続いて「ファンキーグラマラス」「イッサイガッサイ」「スタート」とシングルをリリースし、モーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」のメロディを引用した「国民的行事」でリスナーを驚かせ、そして先頃リリースされたセカンド・アルバム『愛・自分博』。この圧倒的な名盤は、多少意識したところもあるのだろうが、メロウな部分が目立ち、誰もの心にノスタルジーを喚起する。どこか、懐かしさ、すら感じる。「江戸川ロックオン」や「涙止まれよ」などは、その際たるものだ。
そしてファーストで内を向いていた彼が、外を向いた印象を受ける。おそらく、評価、を受けたことで、外に向けて自分の気持ちを出せるようになってきたのだろう。なんたってあの俺様クレバが「It's
for you」などというリリックを書いているのだ。ずっと。一番になりたい、一番じゃなきゃ意味がない、と言い続けてきた彼だが、たぶんそれは、多くの人に理解されたい、という気持ちの現れだったのだろう。そしてこのアルバムは、ヒップホップのソロ・アーティストとしては史上初となるチャート1位を獲得した。作品に充実感があふれた、そんな1枚。