銀杏BOYZ、レミオロメン、百々和宏(MO'SOME TONEBENDER)、POLYSICS、ウエノコウジ(Radio Caroline)、上中丈弥(THEイナズマ戦隊)、矢野絢子、UNDER THE COUNTER、ART-SCHOOL、トルネード竜巻、スピッツ、ケイタク、昼海幹音、てるる...、AURORA、ROSSO、ゆらゆら帝国、山崎まさよし、FAKE?、森山直太朗、AIR、Theピーズ、清木場俊介、SATOち(ムック)、つばき、堂島孝平、高野 哲(nil)、柳田久美子、キャプテンストライダム、THE BOOGIE JACK 定価 680円(税込)
新作『FAB FOX』の1曲目、「モノノケハカランダ」のイントロに痺れる。軽快な ビートで迫ってくるリズム。力強く、切実に胸を揺らすサウンド。前へ前へ踏み出そ うとするフレーズ。でもそれをどこか憧れとして見ている。こうありたい、という夢 想が、圧倒的な力を生んでいるのだ。妄想の産物、と言ってもいいかもしれない。そ れは強く思うことで、リアルなものにすることが出来るのだ。
フジファブリック。1999年に山梨県富士市から上京して来たボーカル、志村正彦が、翌年に結成したバンドだ。メンバーチェンジを繰り返しながら現在のラインナップとなる。結成当初のライブを見たことがあるが、まだバンドとしての色が見えず、志村のパーソナルが強くにじんでいた。もちろん今もそうなのだが、その頃はただ自分に向けて唄っていた。『アラモルト』や『フジファブリック』には、自分の中にあるどうしようもない感情を吐き出そうとしている彼の姿が見える。昔の忘れられない思い。どんなに女々しいと思われようが、彼はずっと引きずっていた思いを歌に託していたのだ。そうすることで傷を癒そうとしていた。バンドのサウンドがどこか日本的な詩情にあふれていたのは、そういうメランコリーに起因している。
それが『FAB FOX』あたりから変わって来た。顕著だったのはシングルにもなった「茜色の夕日」だ。まだ自信はない。それどころかバンドとして認められれば認められるほど、出てくるのはちっぽけな姿。別れを前にしたヘタレな自分。でも昔みたいに、それを唄にしてどこか安心するのではなく、その事実を見つめて踏み出そうとし ている。変わろうとする姿が見える。その姿はとっても切ないのだけれど、リアルで 圧倒的に胸をうつ。主人公になりたいのだ。なりたいけどなれないのだ。そんな自分 が必死にもがく。せつなさと憧れがにじむ。その叙情は、彼らにしか唄えないものだ。 忘れたくても忘れられない。そんな思いは誰にだってあるだろう。その思いを引き ずりながら、でも、前に向かって足を踏み出す。その一歩が歌になった。夕日の向こ うに見えるのは、思い出じゃなく、明日への希望だ。