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総合TOP > お役立ちインデックス > OnGenアーカイブス > インナミリコメン > 2008/05/14 スティーヴ・ミラー・バンド


インナミレコメン 印南敦史の選ぶオススメの1枚
スティーヴ・ミラー・バンド 『FLY LIKE AN EAGLE』
スティーヴ・ミラー・バンド   『FLY LIKE AN EAGLE』

TRACK LIST
 1976 Release
ダウンロード価格
アルバム¥1,500(税込)
トラック 各\150(税込)

 
 
 
  

アーティスト詳細へ
 
“アメリカン”でめちゃめちゃファンキー。オヤジ世代のツボを刺激しまくり。
   

どーせオヤジなので、オヤジらしい話をしよう(そこまで開きなおる必要もない)。

現在40代ぐらいのオヤジ世代が少年だったころ、アメリカはまだまだ憧れの国だった。

50代以上の人たちの捉え方はまたちょっと違うんじゃないかと思うのだけど、中学生のころに創刊された雑誌『POPEYE』がやたらとアメリカを持ち上げまくったこともあり、僕の世代の脳裏には「アメリカ=すんばらしい理想郷」という図式がたしかに埋め込まれていた。

地平線まで続くドライブウェイとか、メガ×3ぐらいのボリュームがあるハンバーガーとか、フリスビーとかスケボーとか、もうすべてが肯定要素。特に西海岸ですな。あんなに爽やかな場所が、この世にあっていいものかとすら感じていた。

機会を得て16歳のときに訪れた歳には、街としての限界みたいなものもちょっと感じましたけどね。

で、少なくとも僕にとって、もっともアメリカを実感させてくれるアーティストがドゥービー・ブラザーズとスティーヴ・ミラー・バンドだったのだ。前者については以前ここでも書いたことがあるけれど、でもスティーヴ・ミラーについていえば日本ではあまりにも過小評価されすぎている。そんな思いをずーっと抱いてきた。

Fly Like An Eagle」がサンプリング・ソースとして有名なのでヒップホップ・サイドからはわりかし認知されてると思うんだけど、それ以前の部分であまりにも評価が低い。というか評価される機会すら少なすぎる。幼なじみのボズ・スキャッグスはあれだけ認知されているというのに、不公平すぎる(そういう問題ではない)。

でも、最高なんだよなー。特に70年代。 68年のデビュー作『CHILDREN OF THE FUTURE』に端を発する初期作品はサイケデリック・ブルースなのでとっつきにくいかもしれないし、ディスコでもかかりまくってた82年の『Abracadabra』まで行っちゃうと個人的には行き過ぎ感も感じる。が、タイトル曲で初の全米No.1を勝ち取った73年の『The Joker』から81年の『Circle Of Love』まではもう絶対的なのだ。ちょっとおバカでお気楽で、どこを切ってもめちゃめちゃファンキー。広大なアメリカを象徴するような世界が繰り広げられており、アメリカ幻想に毒されるオヤジ世代のツボをツンツンツンと刺激しまくるのだった。

なかでもダントツの説得力を持っていたのが、「Take The Money And Run」「Rock’n Me」「Fly Like An Eagle」とスマッシュ・ヒットを連発した76年の『Fly Like An Eagle』だ。

でね、「Fly Like An Eagle」の認知度が高いわけだしそれを否定する気もないのだけれど、僕としては「Rock’n Me」にこそスティーヴ・ミラーの本質が表れていると思えてならない。このファンキーさ加減って、ダサさとのギリギリの境界線だったりするわけですよ。

だからこそ、めちゃめちゃかっこいい。当時のスティーヴ・ミラーはステージでレインボー・カラーのサスペンダーなどを愛用しており、それは当時の感覚からしてもじつに垢抜けない、ギリギリの極みとしかいえないセンスだった。けれど恥ずかしがるという発想がそこにはなかったから、なんだか許せちゃったんですよね。それは曲にもいえて、好例が「Rock’n Me」だというわけ。あくまで私見だけど、的ははずれていない気がする。

それにこのアルバム、上記ヒット以外にもフック満載。たとえば「Wild Mountain Honey」のふわ〜んとしたムードは文句なしで気持ちいいし、「Serenade」では独特のギター・カッティングを堪能できる。踊ろうという気分には決してなれない「Dance Dance Dance」には、この人のユーモア・センスがくっきり。「Mercury Blues」や「Sweet Maree」では持ち前のブルース・フィーリングを全開させ、サム・クックの「You Send Me」は完全に自分の楽曲として消化している。ソウル・フィーリングって点では、「The Window」もはずせませんなあ。ちなみに「Space Intro」や「Blue Odyssey」は彼が好んで取り入れていたシンセサイザー・サウンドだが、これらに共通する「こういう曲をやることに意味があるのか?」という雰囲気もご愛嬌だ。

てなわけで、 「Swingtown」や「Jet Airliner」を生んだ77年の『BOOK OF DREAMS』と並んで、(特にオヤジ世代の人に)ぜひまた味わっていただきたい。

なんかさ、くだらないことで悩んでたりするのがばからしくなってくるようなユル〜い力があるんだよね。

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  1962年東京出身。雑誌、ラジオなどで活躍中のエッセイスト/フリーライター/編集者/DJ。音楽を中心としつつ、食からバカネタまでに広く精通。すべてのカテゴリーにおいてマニアックに暴走することなく、独自の語り口でわかりやすく伝えることを信条としている。最新刊は『音楽系で行こう!』(ロコモーション・パブリッシング)。その他、『 あの日、ディスコが教えてくれた多くのこと』『ブラックミュージックこの一枚』(知恵の森文庫)など著作多数。
『TITLe』(文芸春秋)『ラピタ』(小学館)『BRIO』(光文社)『モノ・マガジン』(ワールド・フォト・プレス)『月刊PLAYBOY』(集英社)など、多くの雑誌に執筆。TBSラジオ『ストリーム』出演中。
脱力系日記が人気のウェブサイトは www.innami-atsushi.com/

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