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総合TOP > リコメンドインデックス > インナミリコメン > 2008/03/12 エリカ・バドゥ


インナミレコメン 印南敦史の選ぶオススメの1枚
エリカ・バドゥ 『ニュー・アメリカ パート・ワン(第4次世界大戦)』
エリカ・バドゥ  『ニュー・アメリカ パート・ワン(第4次世界大戦)』

TRACK LIST
 2008 Release
ダウンロード価格
アルバム¥1,500(税込)
トラック各¥150(税込)

 
 
 
   

アーティスト詳細へ
4年半ぶりの新作は、決意表明としての意志が見える完成度の高さ。
   

 一昨年の夏に青山「CAY」で開いたパーティー“Juicy”を最後に、(ひっそりと)DJを引退した。  その数年前から、DJを続けることに年齢も含めたいろんな意味で虚しさを感じていたからだ。アナログレコードもほとんど聴かなくなったから大量処分したし、それで困ることもなかった。  なのにここにきて何件か依頼がきたりして、そしたら妙に燃えてしまい、「引退を撤回しようかな」と(ひっそり)考えて、手放したレコードをまた買い戻したりしている無意味。  なにやってんのかなあと思うけど、これが僕なのだから仕方ないね。それに昔ほどフリーキーにはなれないとはいえ、たぶん死ぬまでアナログ・レコードからは離れられないんだろう。

 なんてことを考えたのは、エリカ・バドゥが4年半ぶりに出したシングル「Honey」のクリップがきっかけだった。
 もうチェックしました? まだなら、ぜひ見てみてください。エリカ・バドゥがレコード店でレコードを取り出すと、ジャケットのなかにはそのアーティストになり切る彼女の姿。ファンカデリックの『マゴット・ブレイン』とかミニー・リパートンの『パーフェクト・エンジェル』とかグレイス・ジョーンズの『ナイトクラビング』とかになり切っちゃってるわけで、それはそれは楽しいのだ。しかもラストには  SUPPORT YOUR LOCAL RECORD STORE !!!!!!!!!!  という一文。つまりはレコード店救済曲なんですね。なんだかもう、すごく共感できるものがあった。

 で、そんなもの見せられたらアルバムにも期待せざるを得ないんだけど、こちらはこちらでものすごい完成度の高さだ。デビュー・シングル「On And On」が強烈すぎたから、大半の人が彼女にオーガニックなイメージを持っていると思うんだけど、今回は完全なファンク/ヒップホップ・アルバムです。しかも表層的な意味ではなく、精神的な意味でのね。

 なにしろオープニングからして、ロイ・エアーズがプロデュースを手がけたランプの名作『Come Into Knowledge』のオープニング 「The American Promise」のカバーですぜ。しかもあのジャズ・ファンクを、オリジナルに忠実に再現している。これを耳にしただけでも、今回のアルバムにかける彼女の思いが伝わろうというもの。いやホントにぶっとびました。

 かと思えば、マッドリブがプロデュースする「The Healer」や「My People」あたりは、プログレッシヴ・ヒップホップとでも呼びたくなるほど実験的かつ未来的。そして同じく、サーラー・クリエイティヴ・パートナーズが手がける「Me」、「The Cell」、「Master Teacher」(カーティス・メイフィールドの「Freddie’s Dead」をサンプリング)あたりも要注意だ。「Twinkle」に至っては、エレクトロニカのニュアンスすら感じるし、驚きの連続としかいえない質感なのだ。

 ってなわけで、描き出すと止まらなくなるほどトピック満載。この調子でダラダラ書き続けるのは簡単だけど、一度聴いてもらうしかないと思っている。というか聴いた方がいい。全体的に「ものすごいものをつくっちゃいましたね」って感じで、これは間違いなく、現行シーンに対するなんらかの決意表明だ。タイトルからも、それがわかるよね。

 だけど、ひとつだけ不満。  このジャケは嫌だ。これに関しては、どうしても共感できないな。恐い……。

お知らせ 多方面で活躍中の音楽ライター・印南敦史のブログ「印南敦史の武蔵野音楽日記」がついにOPEN!

  1962年東京出身。雑誌、ラジオなどで活躍中のエッセイスト/フリーライター/編集者/DJ。音楽を中心としつつ、食からバカネタまでに広く精通。すべてのカテゴリーにおいてマニアックに暴走することなく、独自の語り口でわかりやすく伝えることを信条としている。最新刊は『音楽系で行こう!』(ロコモーション・パブリッシング)。その他、『 あの日、ディスコが教えてくれた多くのこと』『ブラックミュージックこの一枚』(知恵の森文庫)など著作多数。
『TITLe』(文芸春秋)『ラピタ』(小学館)『BRIO』(光文社)『モノ・マガジン』(ワールド・フォト・プレス)『月刊PLAYBOY』(集英社)など、多くの雑誌に執筆。TBSラジオ『ストリーム』出演中。
脱力系日記が人気のウェブサイトは www.innami-atsushi.com/

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「インナミリコメン」「印南敦史の武蔵野音楽日記」でおなじみの印南敦史の新作エッセイ『音楽系で行こう!』(ロコモーション・パブリッシング)が発売されました。フリーライターの現実を赤裸裸に、そしてコミカルにつづった内容。専門書とは違って、笑いながら気軽に読めるので、音楽ライターになりたい人も、そうでない人も楽しめるはずですよ。ぜひチェックしてください

 






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