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総合TOP > お役立ちインデックス > OnGenアーカイブス > インナミリコメン > 2007/12/26 ザ・バード・アンド・ザ・ビー


インナミレコメン 印南敦史の選ぶオススメの1枚
ザ・バード&ザ・ビー 『Please Clap Your Hands』
ザ・バード&ザ・ビー   『Please Clap Your Hands』

TRACK LIST
 2007 Release
ダウンロード価格
アルバム¥750(税込)
トラック各¥150(税込)

 
 
 
  

アーティスト詳細へ
めくるめくポップ・センスを持つLAのユニットでは、あのローウェル・ジョージの娘も大活躍。
   

ザ・バード・アンド・ザ・ビーの最新ミニ・アルバム『Please Clap Your Hands』がいいぞ。おしゃれで適度に切なくて、オヤジごころもくすぐられる。  

 まずハイライトは、なんといっても「How Deep Is Your Love」だ。30代以上の人には、「愛はきらめきの中に」という邦題の方がなじみ深いかな。そう、1977年末にビー・ジーズが映画『サタデー・ナイト・フィーバー』サントラから大ヒットさせた名曲のリメイクである。オリジナルのテイストを活かしつつ、彼ららしいセンスを加味していてすごくいい雰囲気。

 他にも硬質なビートとボーカルの絡み方が新鮮な「Polite Dance Song」「So You Say」、ファンキーでちょっと不思議な雰囲気の「Man」、寂しげなムードが印象に残る「The Races」と他のトラックも完成度が高く、クラブ・オリエンテッドでありながらも広範な年齢層から受け入れられそうなニュアンスがあるのだ。センスいいよなー。

 音的にはヨーロッパのテイストなので意外といえば意外だが、ザ・バード&ザ・ビーはLA出身の男女ユニットである。すでに大ブレイク中ではあるけれど、初めて知る人もいるかもしれないので改めて説明しておこう。

 サウンド・プロダクションを担当しているグレッグ・カースティンは、5歳からピアノを始めて10代にはジャズ・ピアニストとして活動していた人物。チャールズ・ミンガスのピアニスト、ジャッキー・バイアードを師に持ち、ボビー・ハッチャーソンやジョージ・コールマンとの共演経験も持っている。その他、セッション・プレイヤー、プロデューサーとしても多くの実績を持っていて、かなりの実力派だ。

 そして、ボーカルのイナラ・ジョージ。話題性としては、この人の方がインパクトはあるかもね。なぜって、70年代のアメリカン・ロック・ファンを魅了した伝説的グループであるリトル・フィートのギタリスト、ローウェル・ジョージの娘なのだ。しかも名付け親がかのジャクソン・ブラウンだと聞けば、あの辺の音を通過してきた世代も無視できないはず。ともあれ複数のバンドへの参加を経て2005年にソロ・デビュー作『All Rise』を発表したのであるが、その制作過程でグレッグと知り合ったのだった。

 そうして生まれたザ・バード&ザ・ビーの音楽は、あらゆる音楽のエッセンスを意識させる。グレッグのつくるビートには明らかなヒップホップからの影響があるし、ハウスやボッサのテイストもちほら。一方のメロディラインは、バート・バカラックの音楽にも似て普遍的だ。そこにかぶさるイナラのボーカルもキャッチーかつフレキシブルで、いかにも現代っ子という感じ。過去の音楽の良質な部分と現代感覚をミックスさせることに成功しているわけで、だから世代を問わず訴えかけるというわけだ。

 ただ、そうはいっても『Please Clap Your Hands』はミニ・アルバムなので、物足りないと感じる人もいるかもしれない。だから、ぜひとも一緒にフル・アルバムの『ザ・バード&ザ・ビー』もチェックしてみよう。メロディラインにたまらない魅力がある「Again & Again」「I’m A Broken Heart」にはじまり、ユニット名を曲にした「Birds And The Bee」、耳ざわりのいいエレクトロニカ風味の「Fucking Boyfriend」(「いけないボーイフレンド」という邦題は……まぁ、原題がこうなら仕方がないか)」や「La La La」、あるいは「My Fair Lady」、ビッグ・ビート・テイストの「I Hate Camera」、ダルさがクセになる「Because」、そして「Preparedness」と、めくるめくメロディの宝庫。感性のいちばん繊細な部分を巧みに刺激するような、珠玉のサウンドがぎっしり詰まってますぜ。

 ということで、「いまどきの音楽には興味ないなー」という世代にもきっとフィットするのではないかと思いますよ。


お知らせ 多方面で活躍中の音楽ライター・印南敦史のブログ「印南敦史の武蔵野音楽日記」がついにOPEN!

  1962年東京出身。雑誌、ラジオなどで活躍中のエッセイスト/フリーライター/編集者/DJ。音楽を中心としつつ、食からバカネタまでに広く精通。すべてのカテゴリーにおいてマニアックに暴走することなく、独自の語り口でわかりやすく伝えることを信条としている。最新刊は『音楽系で行こう!』(ロコモーション・パブリッシング)。その他、『 あの日、ディスコが教えてくれた多くのこと』『ブラックミュージックこの一枚』(知恵の森文庫)など著作多数。
『TITLe』(文芸春秋)『ラピタ』(小学館)『BRIO』(光文社)『モノ・マガジン』(ワールド・フォト・プレス)『月刊PLAYBOY』(集英社)など、多くの雑誌に執筆。TBSラジオ『ストリーム』出演中。
脱力系日記が人気のウェブサイトは www.innami-atsushi.com/

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