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総合TOP > お役立ちインデックス > OnGenアーカイブス > インナミリコメン > 2007/11/14 スティーヴ・ジャンセン


インナミレコメン 印南敦史の選ぶオススメの1枚
スティーヴ・ジャンセン 『スロープ』
スティーヴ・ジャンセン  『スロープ』

TRACK LIST
 2007 Release
ダウンロード価格
アルバム¥1,500(税込)

 
 
 
 
  • GRIP   >>試聴
  • SLEEPYARD   >>試聴
  • CANCELLED PIECES   >>試聴
  • DECEMBER TRAIN   >>試聴
  • SOW THE SALT   >>試聴
  • GAP OF CLOUD   >>試聴
  • PLAYGROUND MARTYRS   >>試聴
  • A WAY OF DISAPPEARING   >>試聴
  • BALLAD OF A DEADMAN   >>試聴
  • CONVERSATION OVER   >>試聴
  • LIFE MOVES ON   >>試聴
  • PLAYGROUND MARTYRS (reprise)   >>試聴
 

アーティスト詳細へ
JAPAN解散から24年の歳月を経てリリースされた、渾身のファースト・ソロ・アルバム。
   

 ブログでもしつこいくらいに紹介してきたし、こないだはラジオでもかけた。だけどそれでも語り足りないんで、ここでも書かせていただきます。だから「ホントしつこいなあ」と思ったら、ちょっと気にして聴いてみてね。それだけの価値がある作品ですから。

 70年代後期から80年代初頭にかけて活躍したJAPANのドラマーであり、デヴィッド・シルヴィアンの実弟でもあるスティーヴ・ジャンセン“初の”ソロ・アルバムだ。あまりにも時間がかかりすぎたソロ・デビューだが、どうあれジャンセンはこのアルバムを5年もの歳月をかけてつくり上げたのだった。

 そして、その試みは成功している。これは明らかに、『Adolescent Sex』、『Obscure Alternatives』、『Quiet Life』、『Gentlemen Take Polaroids』、『Tim Drum』と5枚のスタジオ・アルバムを出した(その後、ライブ・アルバム『Oil on Canvas』も)JAPANの延長線上に生まれた作品だ。解散から24年もたっているんだからおかしな話だけど、事実僕はオープニングの「GRIP」を聴いた瞬間、「あ、わかる」と感じた。抽象的な表現で申し訳ないんだけど、明らかにJAPANとつながっているように思えたのだ。

 そのせいか、全体的に80年代に似た空気を感じる。ポップスやロックのことではなく、あのころニュー・ウェイブの流れが行き着く先で注目された環境音楽に近いのだ。だから聴いていると、とても落ち着く。しかも時代に逆行しているということでも決してなく、いま出す意義を強烈に感じさせる。

 音的な質感は、兄のシルヴィアンとバーント・フリードマンとのプロジェクト、ナイン・ホーセズに近いかな。兄弟の根底に息づく絶対的なアート指向と、適度なポップ感覚が絶妙のバランスで結びついているのだ。だから聴きやすいし、それでいて奥深い。

 すごくわかりにくい表現だとは思うんだけれど、中軽井沢のセゾン美術館で現代美術を眺めているときと同じような気持ちに僕はなれた。だから先に触れた「GRIP」をはじめ「DECEMBER TRAIN」「CANCELLED PIECES」「GAP OF CLOUD」、「A WAY OF DISAPPEARING」のような環境音楽的な曲の方が個人的には好きだ。「CONVERSATION OVER」や「LIFE MOVES ON」あたりには、モーガン・フィッシャーに通じる洗練性を感じますな。いずれにせよ従来的なコードや曲の構造、組み立て方などを回避しようとしたという本人の発言にも、充分にうなずけるものがある。

 とはいえそれらの狭間に登場するボーカル入りの楽曲も捨てがたく、たとえばシルヴィアンのボーカルが聴ける「PLAYGROUND MARTYRS」あたりはもう極上の仕上がり。さらにいえば同じくシルヴィアンが女性ボーカリストと絡む「BALLAD OF DEADMAN」の東洋的なメロディとか、「SLEEPYARD」や「SOW THE SALT」の悲しげな雰囲気など、決して大げさな表現ではなくて捨て曲がひとつもない。しかも曲順までしっかり計算されているので、絶対に通して聴くべき作品。

 すでにいろんなところで発言しまくっているんだけど、僕にとっては今年のNO.1アルバムです。一枚のアルバムを聴いて、ここまで新鮮な気分になれたのはすごく久しぶりな気もする。

お知らせ 多方面で活躍中の音楽ライター・印南敦史のブログ「印南敦史の武蔵野音楽日記」がついにOPEN!

  1962年東京出身。雑誌、ラジオなどで活躍中のエッセイスト/フリーライター/編集者/DJ。音楽を中心としつつ、食からバカネタまでに広く精通。すべてのカテゴリーにおいてマニアックに暴走することなく、独自の語り口でわかりやすく伝えることを信条としている。最新刊は『音楽系で行こう!』(ロコモーション・パブリッシング)。その他、『 あの日、ディスコが教えてくれた多くのこと』『ブラックミュージックこの一枚』(知恵の森文庫)など著作多数。
『TITLe』(文芸春秋)『ラピタ』(小学館)『BRIO』(光文社)『モノ・マガジン』(ワールド・フォト・プレス)『月刊PLAYBOY』(集英社)など、多くの雑誌に執筆。TBSラジオ『ストリーム』出演中。
脱力系日記が人気のウェブサイトは www.innami-atsushi.com/

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