そして、その試みは成功している。これは明らかに、『Adolescent Sex』、『Obscure Alternatives』、『Quiet Life』、『Gentlemen Take Polaroids』、『Tim Drum』と5枚のスタジオ・アルバムを出した(その後、ライブ・アルバム『Oil on Canvas』も)JAPANの延長線上に生まれた作品だ。解散から24年もたっているんだからおかしな話だけど、事実僕はオープニングの「GRIP」を聴いた瞬間、「あ、わかる」と感じた。抽象的な表現で申し訳ないんだけど、明らかにJAPANとつながっているように思えたのだ。
すごくわかりにくい表現だとは思うんだけれど、中軽井沢のセゾン美術館で現代美術を眺めているときと同じような気持ちに僕はなれた。だから先に触れた「GRIP」をはじめ「DECEMBER TRAIN」「CANCELLED PIECES」「GAP OF CLOUD」、「A WAY OF DISAPPEARING」のような環境音楽的な曲の方が個人的には好きだ。「CONVERSATION OVER」や「LIFE MOVES ON」あたりには、モーガン・フィッシャーに通じる洗練性を感じますな。いずれにせよ従来的なコードや曲の構造、組み立て方などを回避しようとしたという本人の発言にも、充分にうなずけるものがある。
とはいえそれらの狭間に登場するボーカル入りの楽曲も捨てがたく、たとえばシルヴィアンのボーカルが聴ける「PLAYGROUND MARTYRS」あたりはもう極上の仕上がり。さらにいえば同じくシルヴィアンが女性ボーカリストと絡む「BALLAD OF DEADMAN」の東洋的なメロディとか、「SLEEPYARD」や「SOW THE SALT」の悲しげな雰囲気など、決して大げさな表現ではなくて捨て曲がひとつもない。しかも曲順までしっかり計算されているので、絶対に通して聴くべき作品。