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総合TOP > お役立ちインデックス > OnGenアーカイブス > インナミリコメン > 2007/10/24 マントロニクス


インナミレコメン 印南敦史の選ぶオススメの1枚
マントロニクス 『MANTRONIX - THE BEST OF (1985-1999) 』
マントロニクス  『MANTRONIX - THE BEST OF (1985-1999) 』

TRACK LIST
 1999 Release
ダウンロード価格
アルバム¥1,500(税込)
トラック各¥150(税込)

 
 
 
   

アーティスト詳細へ
「いまどき誰も注目しないアーティストにあえて焦点を当てるシリーズ」第四回
   

ほとんど成り行きで進行しているとしか思えない(実際そうなんだよ)「いまどき誰も注目しないアーティストにあえて焦点を当てるシリーズ」だが、今回取り上げるのは80年代のヒップホップだ。

いまや巨大マーケットになったヒップホップの基盤ができあがったのは80年代であり、当時は多くのクラシックスが誕生している。だからやっぱり重要なんですよね。

しかし、そうはいってもこの時代、ヒップホップ・マーケットなんて小さなものでしかなかったのだけれど。だいたい、主要レーベルのほとんどがインディだったわけだし。

マントロニクスが在籍していたスリーピング・バッグ・レーベルも、いうまでもなくインディ中のインディである。功績は大きいけど、知らない人はまったく知らない。というか、そもそもマントロニクスの存在自体がマイナーなんだから、「いまどき誰も注目しない」のはむしろ当然なのだ。

けれど、この人たちがやってたことはものすごく革新的で、明らかに一歩先を行っていた。その証拠に、いまも数多く存在する「エレクトロ信者」たちの間では尊敬の対象なんですぜ。

いかにも80年代な音なんだけど、それでもいまだに新鮮に聞こえるのは、音に圧倒的なクオリティが備わっていたからこそ。

70年代後半からニューヨークでDJとして活動していたカーティス・マントロニックが、ラッパーのMCティーと1984年に結成したグループである。85年にファースト・アルバム『MANTRONIX:THE ALBUM』をリリースした時点で、エレクトロ・ヒップホップとしてのスタイルは完全にできあがっていたと言っていいと思う。

わかりやすくいえば、ガチガチでバキバキな音なのである。って、全然わかんないね。つまり当時最新のテクノロジーをお気に入りのおもちゃのように使いこなし、インパクト抜群の硬くて重くてどハデなビートを作り上げていたということだ。で、そこにMCティーの粘っこいラップが絡むと、独特としかいえない空気が生まれた。ある意味、これはマジックだったとすら言えると思うな。

たとえばいい例が、87年のファースト・ヒット「Who Is It」「Bassline」「Needle To The Groove」などに顕著な攻撃的チャカポコビート。一度ハマッたらなかなか抜け出せない押しつけがましさ、これですよ。

他にも押しの強いビートとスクラッチの絡み具合が気持ちよすぎる「Hardcore Hip-Hop」、ミステリアスな「Ladies」、声ネタのサンプリングっぷりがしつこすぎて笑える「Get Stupid“Fresh”Part 1」、エレクトロ・クラシックとしても名高い「Fresh Is The Word」、そして文字どおり複数の楽曲をがちゃがちゃにミックスした「Mega-Mix」と、『MANTRONIX:THE ALBUM』はホント名曲ぞろいだったなー。「Who Is It」「Scream」を生んだセカンド『Music Madness』とともに、この時期の彼らは基本中の基本。

そのぶん以後の作品の印象が薄いのも事実なんだけど、いま聴いてみるとそっちにもいい曲がたくさん入っているので改めて驚かされる。ドラムの音色が懐かしくも新鮮な「Simple Simon」とか、タイトルどおりのビート大将っぷりをアピールする「King Of The Beats」、あるいは女性ヴォーカリストのワンドレスをフィーチャーしたR&Bテイストの「Got To Have Your Love」など、聴きどころは満載だ。

なんというかですね、この「ありえない過剰さ」こそがヒップホップって感じなわけです。もう絶対に出てこない、遺産と呼ぶべき音。というわけで、多くの人々が彼らのことを忘れているいまだからこそ、ぜひ聴いてみてほしい作品であります。重要曲はすべて網羅されてるしね。

お知らせ 多方面で活躍中の音楽ライター・印南敦史のブログ「印南敦史の武蔵野音楽日記」がついにOPEN!

  1962年東京出身。雑誌、ラジオなどで活躍中のエッセイスト/フリーライター/編集者/DJ。音楽を中心としつつ、食からバカネタまでに広く精通。すべてのカテゴリーにおいてマニアックに暴走することなく、独自の語り口でわかりやすく伝えることを信条としている。最新刊は『音楽系で行こう!』(ロコモーション・パブリッシング)。その他、『 あの日、ディスコが教えてくれた多くのこと』『ブラックミュージックこの一枚』(知恵の森文庫)など著作多数。
『TITLe』(文芸春秋)『ラピタ』(小学館)『BRIO』(光文社)『モノ・マガジン』(ワールド・フォト・プレス)『月刊PLAYBOY』(集英社)など、多くの雑誌に執筆。TBSラジオ『ストリーム』出演中。
脱力系日記が人気のウェブサイトは www.innami-atsushi.com/

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