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総合TOP > お役立ちインデックス > OnGenアーカイブス > インナミリコメン > 2007/09/26 キャメオ


インナミレコメン 印南敦史の選ぶオススメの1枚
キャメオ 『Word Up』
キャメオ    『Word Up』

TRACK LIST
 1986 Release
ダウンロード価格
アルバム¥1,050(税込)
トラック各¥150(税込)

 
 
 
  

アーティスト詳細へ
「いまどき誰も注目しないアーティストにあえて焦点を当てるシリーズ」第三回
   

ずいぶん前にこういうコーナーを始めたことすら、最近は忘れてました。

 いいかげんにもほどがあるが、それはさておき三回目で、となるとやっぱりネタはツッコミどころ満載な80年代で、80年代といえばこの期間に消えていった遺産について触れなければならないのだ。

 なにって、そりゃファンクですよ。

 ジェームス・ブラウンあたりを契機として60年代に誕生し、スライ&ザ・ファミリーストーンジョージ・クリントン率いるPファンク一派などなど、書ききれないほどの逸材を生み出したカテゴリーです。横ノリのグルーヴが最高にかっこよくって、日本でも多くの賛同者を生み出しました。

 が、70年代中期のディスコ・ブームあたりから失速し、80年代になると多くの名バンドがバタバタとつぶれていったという経緯があったりして、なかなか最期は悲惨でもあるのだった。

 では、なぜファンクは80年代に消えたのか? もちろん音楽的なフォーマットが時代とリンクできなかったという部分もあるのですが、それ以上に大きかったのが“経営困難”という問題です。つまりファンク・バンドは大所帯が基本だったので、仕事が少なくなるととたんに経営困難に陥ってしまったわけですね。マンガみたいな現実です。

 でも相次いでファンク・バンドが倒産していくなか、80年代後半になってもまだ現役でがんばっていたのがキャメオ。今回ご紹介する『Word Up』も、かなり大きなヒットになりました。では、なぜキャメオだけが生き残れたのか? これも理由は簡単です。

 リストラしたから。

 70年代のキャメオはファンク・バンドの正しいあり方というべき大所帯構成で、一時的にはメンバーが11人もいたことがあった。だけどそれではやってけないってことで、一気に3人まで人員削減しちゃったわけです。で、そこで失った人の力を、発展著しかったデジタル機材に置き換えたというわけ。しかもその使い方が絶妙で、あたかも機械から汗が吹き出ているような感じだったから結果的に大成功したってことです。

 かっこいいよね。

 冒頭の「Word Up」、あるいは「Candy」「Back And Forth」なんかも、大ヒットしてディスコでもかかりまくってただけにおぼえている人は多いのでは? 新生キャメオのブラックネスが、あますところなく表現された名曲です。いま聴いても充分に新鮮なのは、単に懐かしさ効果だけではないはず。

 あとシングルにはならなかったけど、後半に出てくる「Fast,Fierce & Funny」「You Can Have The World」のドロドロ感も素敵ですぜ。

 しかもねー、ファンクのみならず「Don’t Be Lonely」とか「She’s Mine」とか、ミディアムのクオリティも高いんですよねー。特に前者は、泣けるミディアムの名曲と断言しちゃいたい。

 最近のCDには平気で17曲ぐらい入ってるけど、あえて7曲という構成も潔い感じがしていいね。無駄なものをダラダラ聴かされるより、ずっと身がある気がする。

 ってなわけで、いまどき聴きなおしていただきたいアルバムなのであります。

お知らせ 多方面で活躍中の音楽ライター・印南敦史のブログ「印南敦史の武蔵野音楽日記」がついにOPEN!

  1962年東京出身。雑誌、ラジオなどで活躍中のエッセイスト/フリーライター/編集者/DJ。音楽を中心としつつ、食からバカネタまでに広く精通。すべてのカテゴリーにおいてマニアックに暴走することなく、独自の語り口でわかりやすく伝えることを信条としている。最新刊は『音楽系で行こう!』(ロコモーション・パブリッシング)。その他、『 あの日、ディスコが教えてくれた多くのこと』『ブラックミュージックこの一枚』(知恵の森文庫)など著作多数。
『TITLe』(文芸春秋)『ラピタ』(小学館)『BRIO』(光文社)『モノ・マガジン』(ワールド・フォト・プレス)『月刊PLAYBOY』(集英社)など、多くの雑誌に執筆。TBSラジオ『ストリーム』出演中。
脱力系日記が人気のウェブサイトは www.innami-atsushi.com/

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