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総合TOP > お役立ちインデックス > OnGenアーカイブス > インナミリコメン > 2007/07/25 シカゴ


インナミレコメン 印南敦史の選ぶオススメの1枚
シカゴ 『ホット・ストリート』
シカゴ  『ホット・ストリート』

TRACK LIST
 1978 Release
ダウンロード価格
アルバム¥1,500(税込)
トラック各¥150(税込)

 
 
 
   

アーティスト詳細へ
新たな体制で再始動したシカゴが、1978年に送り出した意欲作。
   

 僕が16歳のとき、当時は四谷にあったラジオ局が「チャレンジ・アメリカ」という恥ずかしい名の企画を立ち上げた。3回の審査をし、合格した高校生15人を無料で2週間、ロサンジェルスにホームステイさせるという太っ腹な話だ。アメリカにかぶれていた僕は、「タダで行けるならいいよなぁ」と軽い気持ちで受けてみた。
 そしたら、受かってしまった。「受かってやるぞ!」みたいな意気込みがあったわけではなく、「なるようになるでしょ」って感じだったので、それがよかったのかもしれない。
 が、フタを開けてみてビックリ。僕は三多摩地域で知られた不良高校の生徒だったのだが、合格者はエリート校の連中ばっかりだったのだ。ましてや屈折した性格だったし、浮きまくり、場の空気を読めずにいつも自分のペースで動いているような感じだった。
「印南、俺はお前が一番心配なんや」
 番組代表として同行したばんばひろふみさんから、何度もそういわれていた。

 とはいえ初のアメリカ。しかも憧れのカリフォ〜ニア、ロサンジェルスはすべてが新鮮だった。
 楽しみにしていたことのひとつが、タワーレコード訪問だ。いまじゃタワレコなんか珍しくもないが、まだ日本に上陸していなかったころの話である。「レコードを山積みにして売ってるらしい」なんて噂を聞いて興奮していた僕は、店員や客からの失笑を買いながら段ボール箱一杯ぶんのレコードを買った。

 サンセット・ブールヴァード沿いのタワーレコードの外壁には、売り出し中のレコードのジャケットが2メートル四方くらいの大きさに拡大されてずらりと並んでいた。そのなかにあったのが、シカゴの『ホット・ストリート』だ。ギタリストのテリー・キャスを不慮の事故で失った彼らが、新メンバーを加え、プロデューサーにフィル・ラモーンを迎えてつくりあげた復帰作。疾走感にあふれるファースト・シングルの「アライヴ・アゲイン」は日本でもすでにヒットしていたから、当然のごとくそれは僕の段ボール箱にも収まった。そして結果的に、普遍的な愛聴盤になった。

 「アライヴ・アゲイン」のみならず、骨太なロック・バンドとしての力量を実感させる「リトル・ミス・ラヴィン」「エイント・イット・タイム」「ショウ・ミー・ザ・ウェイ」、ソング・ライティングにデヴィッド・リンドレーも関わっているミディアムの「グレーテスト・ラヴ・オン・アース」(最高!)、同じく心地よいミディアムの「ラヴ・ワズ・ニュー」「ノー・テル・ラヴァー」、青い空を連想させる「ホット・ストリート」「テイク・ア・チャンス」「ゴーン・ロング・ゴーン」と、収録されている10曲はすべてがみずみずしく、いまなおキラキラと輝いている感じだ。ブラス・ロック・バンドとしての性格を維持しながら、さらに広がりを身につけた作品だという印象がある。

 ともあれ、そんな経験が下地になっているので、僕はシカゴというとどうしてもロサンジェルスの空気感と、そして『ホット・ストリート』を思い出してしまう。彼らは文字どおりシカゴのグループだし、「長い夜」とか「いったい現実を把握している者はいるだろうか?」とか、他にも数多くの名曲があることは承知しているんだけどね。
 いまも聴きなおしながら、29年も前のことをひとつひとつ思い出している。

お知らせ 多方面で活躍中の音楽ライター・印南敦史のブログ「印南敦史の武蔵野音楽日記」がついにOPEN!

  1962年東京出身。雑誌、ラジオなどで活躍中のエッセイスト/フリーライター/編集者/DJ。音楽を中心としつつ、食からバカネタまでに広く精通。すべてのカテゴリーにおいてマニアックに暴走することなく、独自の語り口でわかりやすく伝えることを信条としている。最新刊は『音楽系で行こう!』(ロコモーション・パブリッシング)。その他、『 あの日、ディスコが教えてくれた多くのこと』『ブラックミュージックこの一枚』(知恵の森文庫)など著作多数。
『TITLe』(文芸春秋)『ラピタ』(小学館)『BRIO』(光文社)『モノ・マガジン』(ワールド・フォト・プレス)『月刊PLAYBOY』(集英社)など、多くの雑誌に執筆。TBSラジオ『ストリーム』出演中。
脱力系日記が人気のウェブサイトは www.innami-atsushi.com/

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「インナミリコメン」「印南敦史の武蔵野音楽日記」でおなじみの印南敦史の新作エッセイ『音楽系で行こう!』(ロコモーション・パブリッシング)が発売されました。フリーライターの現実を赤裸裸に、そしてコミカルにつづった内容。専門書とは違って、笑いながら気軽に読めるので、音楽ライターになりたい人も、そうでない人も楽しめるはずですよ。ぜひチェックしてください

 






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