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総合TOP > お役立ちインデックス > OnGenアーカイブス > インナミリコメン > 2007/06/13 フランク・シナトラ


インナミレコメン 印南敦史の選ぶオススメの1枚
フランク・シナトラ 『The Classic Tracks』
フランク・シナトラ 『The Classic Tracks』

TRACK LIST
 1994 Release
ダウンロード価格
アルバム¥1,500(税込)
トラック各¥150(税込)

 
 
 
   

アーティスト詳細へ
時代の流れに左右されず、いつの時代も輝きを失わないフランク・シナトラの歌
   

 フランク・シナトラの音楽と僕の間にはずっと、微妙な距離感があった。「こんな退屈な音楽のどこがいいんだろう」と感じていたのが、おそらく中学生時代。それがだんだん、「ちょっといいな」と思えるようになってきて、だけど積極的に聴こうとまではしないという状態が続いていたのだ。
  劇的な変化が訪れたのは、何年か前に訪れたバリ島。ヌサドゥアのホテルのプールサイドでのことだった。
  僕の隣にいたメタボな腹(って人のこといえない)をした初老の白人男性が、ポータブルのCDプレーヤーとスピーカーでシナトラを聴いていたのだ。聞こえるか聞こえないかというぐらい小さな音で、囁くように歌ったりもして。
  なんだか、その光景がとてもよかったのである。で、そのとき思った。ここまでのめり込ませるシナトラの魅力って、なんなんだろうと。

 日本に戻ったあと、何枚かシナトラのCDを購入した。古いLPは何枚か持っていたけどほとんど聴いていなかったし、つかず離れずだった距離感をきちんと修正してみたかったのだ。そのなかの一枚が、この『The Classic Tracks』だったというわけ。何枚か出ている、キャピトル時代の音源をまとめたベスト・アルバムだ。

 結果、いまじゃ僕のなかでフランク・シナトラはものすごく大きな存在になっている。若いころに伝え聞いてからマイナス・イメージとなっていた要因(マフィアとのつながりとか)なんかはもうどうでもよくて、彼の歌さえあればそれで充分だと思えるようになった。
  とにかく声がいい。この声を聞くだけで、気持ちが安らかになる。聴いていると勇気づけられ、楽しくなり、落ち着くことができ、感動できる。ずっと距離を置いていたくせに、って感じだけど、好きになったらもう止められない。最近では、彼の古いアナログ・レコードを蒐集しているくらいだ。

エセル・マーマンがミュージカル『エニシング・ゴーズ』で歌った楽曲の焼きなおし「I Get A Kick Out Of You」(ちなみに邦題「君にこそ心ときめく」って……)、同名映画のタイトル曲でもある「Three Coins In The Fountain」(邦題「愛の泉」。こりゃまた)、コミカルな雰囲気が楽しい「Love And Marriage」、同名コメディ映画から生まれた「(Love Is)The Tender Trap」、コール・ポーターの楽曲が最大限に魅力を発揮する「I’ve Got You Under My Skin」、フォーク・オペラ『ポギーとベス』から生まれた「I Got Plenty O’ Nuttin’」、映画『夜の豹』で歌われた「The lady Is A Tramp」、ビリー・メイが手がけた「Come Fly With Me」「Come Dance With Me」などなど、知識の有無にかかわらず純粋に「いいなあ」と思える曲ばかり。ホント、何度聴いてもまったく飽きない。

 でもシナトラといえば、やっぱり最終的にはバラードでしょう。1957年の映画『抱擁』で歌われアカデミー賞主題歌賞を受賞した「All The Way」、他にも「Only The Lonely」や「I’ve Got A Cruch On You」などなど。ホントにすばらしい。

 そういえば矢沢永吉さんに話を聞いたとき、目標とすべき憧れのアーティストとして彼がシナトラの名を挙げたことがあった。
  「僕も『ロック・オペラ』までいっちゃったわけじゃないですか。ちょっとセルッティかなんかピシーッと着てね、歌って、一応ジョークのひとつもいい……。フランク・シナトラのジャパニーズ版みたいなもんだよね、これ」
  ボスがシナトラに憧れる気持ち、なんとなくわかるなあ。エンタテイナーとしての最終型なんだろうな、きっと。


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  1962年東京出身。雑誌、ラジオなどで活躍中のエッセイスト/フリーライター/編集者/DJ。音楽を中心としつつ、食からバカネタまでに広く精通。すべてのカテゴリーにおいてマニアックに暴走することなく、独自の語り口でわかりやすく伝えることを信条としている。最新刊は『音楽系で行こう!』(ロコモーション・パブリッシング)。その他、『 あの日、ディスコが教えてくれた多くのこと』『ブラックミュージックこの一枚』(知恵の森文庫)など著作多数。
『TITLe』(文芸春秋)『ラピタ』(小学館)『BRIO』(光文社)『モノ・マガジン』(ワールド・フォト・プレス)『月刊PLAYBOY』(集英社)など、多くの雑誌に執筆。TBSラジオ『ストリーム』出演中。
脱力系日記が人気のウェブサイトは www.innami-atsushi.com/

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