というわけで今回はJBをぜひ体験していただこうと思ったのだが、なにせ80枚以上もアルバムを出してる人なので、たった一枚だけをチョイスするのは非常に困難。そこで長いキャリアのなかでも特筆に値する“ファンク”の部分に焦点を当てたコンピレーション・アルバム『In The Jungle Groove』をご紹介しようと思う。名ボックス・セット『Star Time』を編集したことでも知られるジェームス・ブラウン研究家、クリフ・ホワイトの手によるコンピレーション・アルバムだ。拙著『ブラックミュージックこの一枚』でも取り上げたことがあるが、ヒップホップなどのダンス・ミュージックから彼を知った人にとっては、とても適した入り口になると思う。
オープニングは、1970年の同名アルバムから誕生した名曲「It‘s A New Day」。6分以上も続くソリッドなビートに、JBファンクの神髄が表現された楽曲だ。続く「Funky Drummer」は、ヒップホップ・リスナーにとっては最も聴きおぼえのある楽曲かもしれない。80年代後期、サンプリング・ソースとしてこの曲がヒップホップ・トラックにサンプルされまくったことがあるからだ。使われるのはもっぱら中盤部分。5分19秒あたり、「one,two,three,four,hit it!」のかけ声とともに登場するクライド・スタブルフィールドの8小節ドラム・パートだが、無駄がなくこの上なくソリッドで、「定番ビート」として認知された理由も充分にわかる。
ちなみにこのパートが頻繁に引用されることから、当コンピにはそのパートだけで構成したボーナス・ビーツ「Funky Drummer(Bouns Beat Reprise)」も収録されている。DJ用の“つなぎ用トラック”だが、これがどうにも使える使える! 僕もDJをやる際には、必ずレコード・バッグに入れておく楽曲だ。 「Give It Up Or Turnit A Loose」も、同じくJBの代表曲のひとつだが、ここに収録されているのはリミックス・ヴァージョン。ドラムのヌケがよくなっていて、明らかにクラブ・プレイを意識した作りになっている。こういう仕掛けが施されたとしても、まったく原曲の威力を失わないところがJBファンクの神髄。また、随所に配された“声ネタ”の数々も、ヒップホップ・リスナーにはおなじみのはずだ。
未発表曲として、このアルバムが初出となった「I Got To Move」は1967年の「There Was A Time」を再構成した楽曲で、冒頭のコンガ・ビートからすでにエキセントリックなファンク。次に登場する「Talkin‘ Loud And Sayin‘ Nothing」は'72年にR&Bチャート1位になったクラシックだが、ここに収録されているのはその別ヴァージョン。やはりサンプリング・ソースとして「聴きおぼえのある」パートがぎっしり詰まった「Get Up, Get Into It, Get Involved」とともに、絶対に押さえておきたい楽曲である。
さらに「Soul Power」と「Hot Pants (She Got To Use What She Got To Get What She Wants) 」も、JBを語る上では外すことができないクールなファンク。やはり定番ネタであるだけに、入り口としては最適だろう。