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総合TOP > お役立ちインデックス > OnGenアーカイブス > インナミリコメン > 2006/12/13 オーティス・レディング


インナミレコメン 印南敦史の選ぶオススメの1枚
オーティス・レディング『ソウル辞典』
オーティス・レディング『ソウル辞典』

TRACK LIST
 1966 Release
ダウンロード価格
アルバム¥1,500(税込)
トラック各¥150(税込)

 
 
 
  

アーティスト詳細へ
オーティス・レディング特集ページ
ディープ・ソウル特集ページ
寒い季節だからこそ聴きたい、大人の男を泣かせるソウル・アルバム
   

演歌の関係者数人に、「なぜ演歌には北の冬が似合うのでしょうか」と質問(愚問?)したことがある。
 「日の光がまぶしい南国じゃ似合わないし、コートの襟を立てて厳しい冬を乗り切るっていうイメージじゃないですか」
 と、総じて答えはシンプルで、まあ予想どおりだったわけだけれども、そういうニュアンスってたしかにありますよね。
 考えてみれば、僕だって似たようなものだ。(クーラーをギンギンにかけてダブを聴くのが好き、みたいな変態趣味があるとはいえ)夏には暑苦しい音楽は避けてしまいがちだし、冬にはやっぱり暖かい音楽を聴きたいから。
 だから、この季節になるとソウル・ミュージックが恋しくなるのだ。単純ですけど、でも、そんなもんだとも思いますぜ。

 で、12月に入ってから無性に聴きたくなっていて、ちょこちょこ引っ張り出しているのがオーティス・レディングなのである。エキサイティングでパワフルで、それでいて哀愁たっぷり。決してロマンティックではないかもしれないが、なんともこの季節に似合っちゃうんですなあ。大吟醸でも黒糖焼酎でもバーボンでもなんでもいいんですが、酒を用意してしんみり楽しみたい歌なわけですよ。

 ただ、オーティスのアルバムを一枚だけ選べと言われたら、これはなかなか難しいのだ。
 「Respact」「Change Is Gonna Come」など名曲がぎっしり詰まった『Otis Blue』は文句なしだし、カヴァー曲が際立つ『The Soul Album』も捨てがたい。かと思えば死後に発売され、代表曲でもあるタイトル・トラックを生み出した『The Doc of The Bay』だって絶対に無視できない。サンプリング・ソースとしても知られる「Tramp」を収録したカーラ・トーマスとの供作『King & Queen』も外せないし、『Live In Europe』にはいまでもゾクゾクさせられる。ってな感じで、どのアルバムにも魅力があるからだ。
 が、もしそれでも一枚だけというのなら、僕が選ぶのは1966年リリースの『Dictionary of Soul』だ。

 まず、タイトルがいいじゃないですか。邦題『ソウル辞典』。タイトルに偽りなし。ジャケのマヌケさ加減もかわいい。
 しかも冒頭から、いきなり代表曲の「Fa-Fa-Fa-Fa-Fa (Sad Song)」ですよ。微妙な録音バランスの悪さも含め、これ一曲だけでもすでに満足。同タイプの「I'm Sick Y'All」「Ton Of Joy」も「大人の男だからこそわかる世界だぜ」って感じだし、ブルース・ナンバーの「Hawg For You」に至ってはさらに渋すぎ。一方で「Sweet Lorene」「Day Tripper」「She Put The Hurt On Me」「Love Have Mercy」などのアップ・ナンバーには思いっきりパワーをもらえて、全12曲がどれもがマスト。加えて「Tennessee Waltz」「My Lover's Prayer」「You're Still My Baby」などのバラードもめちゃめちゃ染みるわけで、もう非のつけどころがないわけです。
 が、やっぱり真骨頂は「Try A Little Tenderness」ですねー。静かに始まりだんだん盛り上がっていって最後にはドカンと大爆発!って感じの展開は何度聴いても感動的で、一生の友って感じです。

 敬愛するイラストレーターの湯村輝彦さんが「スウィート・ソウルを聴きながら、男ひとりソファに泣き崩れる」という概念を打ち立てたときにはいたく共感したものですが、スウィートだけではないとはいえ、オーティスもまたその範疇に収められる気がします。
 ってなわけでこの冬は、オーティスの歌にどっぷりハマッて泣きましょう。

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  1962年東京出身。雑誌、ラジオなどで活躍中のエッセイスト/フリーライター/編集者/DJ。音楽を中心としつつ、食からバカネタまでに広く精通。すべてのカテゴリーにおいてマニアックに暴走することなく、独自の語り口でわかりやすく伝えることを信条としている。最新刊は『音楽系で行こう!』(ロコモーション・パブリッシング)。その他、『 あの日、ディスコが教えてくれた多くのこと』『ブラックミュージックこの一枚』(知恵の森文庫)など著作多数。
『TITLe』(文芸春秋)『ラピタ』(小学館)『BRIO』(光文社)『モノ・マガジン』(ワールド・フォト・プレス)『月刊PLAYBOY』(集英社)など、多くの雑誌に執筆。TBSラジオ『ストリーム』出演中。
脱力系日記が人気のウェブサイトは www.innami-atsushi.com/

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