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総合TOP > お役立ちインデックス > OnGenアーカイブス > インナミリコメン > 2006/09/13UP スティーヴィー・ワンダー


インナミレコメン 印南敦史の選ぶオススメの1枚
スティーヴィー・ワンダー『キー・オブ・ライフ』
スティーヴィー・ワンダー『キー・オブ・ライフ』

TRACK LIST
 1976 Release
ダウンロード価格
アルバム\2,400(税込)
トラック各¥150(税込)

 
 
 
  

スティーヴィー・ワンダー特集ページ
アーティスト詳細へ
全曲がシングル・カットに値する、30年前の作品とは思えない完成度。
   

スティーヴィー・ワンダー作品について書こうとするたび躊躇する理由は明快。好きなアルバムが、あまりに多すぎるからだ。
 「これについて書こう。……いや、それではありきたりかもしれない。でも……」なんてつまらないことを、つい延々と考えてしまうのだ。
 けれどそれではらちが明かないので、今回はサクッと一枚をチョイスしてみた。1976年のグラミー受賞作品『キー・オブ・ライフ』だ。
 3部作と名高い『トーキング・ブック』『インナーヴィジョンズ』『ファースト・フィナーレ』に次ぐ大作。オリジナル盤はLP2枚+7インチ・シングル1枚という変則的な構成で発表された。
 このころは思春期のまっただなかだったので、僕にとっても大きな意味を持つ作品だ。ひとつひとつの楽曲が、いろんな思い出と結びついている。おもに失恋の記憶だが、そんなあたりもまた14歳の不器用な青春。

 であるだけに記憶も鮮明なのだが、そうでなくともリリース前からなにかと話題を振りまいたアルバムだった。なにせ当初の予定より、発売が半年遅れたのだ……と書いて思い出したけど、新作『タイム・トゥ・ラヴ』もそんな感じでしたね。やってること変わりませんな……という話はともかくも、このアルバムのために3000曲作って700曲もレコーディングしたとか聞かされれば、そりゃ期待が高まって当然なのである。

 いまにして思えば少なすぎる気もするのだけれど、シングル・カットされたのは全4曲。ともにR&Bチャート1位を記録したファースト・シングルの「I Wish」とセカンド・カットの「Sir Duke」デューク・エリントンに捧げられた楽曲としても有名)、8分以上あるのに長さをまったく意識させない「Another Star」ハービー・ハンコックも参加したメロウ・グルーヴの「As」と、すべて完璧のひとことだ。

 しかし同時に注目すべきは、その他の楽曲もハンパなく完成度が高いという事実。後年にブラックストリートもファーストでリメイクした「Love’s In Need Of Love Today」クーリオ「Gangsta Paradise」の元ネタとしても有名な「Pastime Paradise」、シングル・カットされなかったのに代表曲として知られる「Isn’t She Lovely」、アフリカン・ルーツをシンセ・サウンドで再現した「Ngiculela-Es Una Historia-I Am Singing」、疾走感のあるビートがスリリングなインストゥルメンタルの「Contusion」まで、捨て曲ナシとはまさにこのこと。どれがシングルに切られたとしてもまったく不思議はない。スティーヴィーのポップ・センスと(いまだに古さを感じさせない)先進性が見事に結実しているわけで、全21曲を通して聴いてもまったく飽きを感じさせないのがすごい。

 というわけで、他のアルバムももちろん大好きなんだけど、一枚選ぶとしたらやっぱりこれかな。
 ……あ、でも「Signed, Sealed, Delivered (I’m Yours)」が大ヒットした同名アルバムも、「Superwoman (Where Were You When I Needed You)」がはいった『ミュージック・オブ・マイ・マインド』も、『トーキング・ブック』『インナーヴィジョンズ』『ファースト・フィナーレ』の3部作も、あんまり評判はよくなかったけど個人的には買っていた『シークレット・ライフ』も、「Master Blaster (Jammin’)」「Happy Birthday」を生んだ『ホッター・ザン・ジュライ』も、もちろんそれ以外のアルバムも、それぞれみんないいんだよなあ!

 ここでまた話をもとに戻してどうするのだという感じだけれど、とはいえやっぱりまずはこれを聴いてみよう。ビギナーにも最適だと思いますぜ。

お知らせ 多方面で活躍中の音楽ライター・印南敦史のブログ「印南敦史の武蔵野音楽日記」がついにOPEN!

  1962年東京出身。雑誌、ラジオなどで活躍中のエッセイスト/フリーライター/編集者/DJ。音楽を中心としつつ、食からバカネタまでに広く精通。すべてのカテゴリーにおいてマニアックに暴走することなく、独自の語り口でわかりやすく伝えることを信条としている。最新刊は『音楽系で行こう!』(ロコモーション・パブリッシング)。その他、『 あの日、ディスコが教えてくれた多くのこと』『ブラックミュージックこの一枚』(知恵の森文庫)など著作多数。
『TITLe』(文芸春秋)『ラピタ』(小学館)『BRIO』(光文社)『モノ・マガジン』(ワールド・フォト・プレス)『月刊PLAYBOY』(集英社)など、多くの雑誌に執筆。TBSラジオ『ストリーム』出演中。
脱力系日記が人気のウェブサイトは www.innami-atsushi.com/

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