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総合TOP > お役立ちインデックス > OnGenアーカイブス > インナミリコメン > 2006/04/26UP パブリック・エネミー ドナルド・フェイゲン


インナミレコメン 印南敦史の選ぶオススメの1枚
パブリック・エネミー
『It Takes A Nation Of Millions To Hold Us Back』
『It Takes A Nation Of Millions To Hold Us Back』

TRACK LIST
  ダウンロード価格
トラック 各\150(税込)

 
   

永遠にロックし続けたい人のための「究極のエンタテインメント」
   

パブリック・エネミーはウルトラマンとか仮面ライダーに似てるなあと思う。おそまつ君でもオバQでもいいんだけど、要するに存在自体がマンガ的だってこと。
そもそも、メンバーの個性がいちいち強烈だ。

・ガキ大将というよりクラス委員(生徒会長はちょっと無理)的なリーダーシップを持ち、太く力強いラップが魅力のチャック・D。
・明らかに人格が破綻してて、でもそれが首からデカい時計ぶらさげる爆裂センスとも相まって明確な個性になってるフレイヴァー・フレイヴ。
・ミスター・マリックにチョイ似でやはりヴィジュアル・センス的には切ないものがあるが、ターンテーブルに向かわせれば超アグレッシヴなプレイを見せるDJのターミネーター・X。
・ルックスも立ち振る舞いも典型的な悪役キャラのプロフェッサー・グリフ。

客観的に捉えれば、このキャラ立ちはやっぱりマンガだ。でもそこが、刺激を求める若人の感性をガシッとつかんだわけだ。
そのあたり、KISSと似ている部分もありますね。

つまり、「黒人への抑圧に対する怒り」を明確にしたリリックの根底にあるものも詰まるところ主張ではなく「キャラ」だ。非常に語弊のある言い方だけど、ある意味でそれは事実だと思う。
プロフェッサー・グリフがユダヤ人を批判して脱退し、チャック・Dが「グループとしての意見ではない」と懸命に尻拭いした(つまり、思われていたほど 明確な意志はなかった)ことから彼らは失速したが、まずはそこをわきまえる必要がある。
逆にいえば、ここまでエンタテインメントに徹した人たちはいなかったのだ。

スモーキーな不良性プンプンの「You're Gonna Get Yours」とか、フレイヴァー・フレイヴがリスナーを煽りまくる「Too Much Posse」とか、代表曲の「Public Enemy No.1」「Yo! Bum Rush The Show」とか、「主張するDJ」のあり方を提示した「Terminator X Speaks With His Hands」とか、デビュー作『Yo!Bum Rush The Show』は全曲がいちいち衝撃的だったしなあ。  いま聴きなおしても頭ガンガンに揺れます。
ただ、完成度という点での彼らの最高傑作といえば、やっぱりセカンドの『It Takes A Nation Of Millions To Hold Us Back』ということになるかもしれない。
のちにアンスラックスとともに再演することになる「Bring The Noise」の圧倒的な疾走感。「Don't Believe The Hype」のチンピラ臭。フレイヴァー・フレイヴがインチキくささを振りまく「Cold Lampin'With Flavor」。クイーンのFlash’s Themeまでトランスフォーマー・スクラッチのネタになっちゃってる「Terminator X To The Edge Of Panic」。かと思えばボブ・マーリー「Get Up Stand Up」まで拝借しちゃってる「Party For Your Right To Fight」アイザック・ヘイズShaftネタが効いてる「Caught, Can We Get A Witness?」
彼らのポテンシャルを凝縮したといえる「Show'Em Whatcha Got」「Night Of The Living Baseheads」「Rebel Without A Pause」の濃密な雰囲気。

……と書き続ければいくらでも書けるんだけど、とにかく圧倒的な説得力を感じさせる作品なのだ。年齢に関係なくロックする感性をお持ちの方なら一度(二度、三度、いや十度でも)聴いてみてほしいと思う。

追記:個人的にはもう復活はありえないだろうなあと思っていたのだけど、予測を見事に裏切って彼らは先ごろ新作『NEW WHIRL ODOR』で堂々の復活を遂げた。ボム・スクワッドとふたたび手を組んだ傑作なので、こちらも機会があったらぜひ。

お知らせ 多方面で活躍中の音楽ライター・印南敦史のブログ「印南敦史の武蔵野音楽日記」がついにOPEN!

  1962年東京出身。雑誌、ラジオなどで活躍中のエッセイスト/フリーライター/編集者/DJ。音楽を中心としつつ、食からバカネタまでに広く精通。すべてのカテゴリーにおいてマニアックに暴走することなく、独自の語り口でわかりやすく伝えることを信条としている。最新刊は『音楽系で行こう!』(ロコモーション・パブリッシング)。その他、『 あの日、ディスコが教えてくれた多くのこと』『ブラックミュージックこの一枚』(知恵の森文庫)など著作多数。
『TITLe』(文芸春秋)『ラピタ』(小学館)『BRIO』(光文社)『モノ・マガジン』(ワールド・フォト・プレス)『月刊PLAYBOY』(集英社)など、多くの雑誌に執筆。TBSラジオ『ストリーム』出演中。
脱力系日記が人気のウェブサイトは www.innami-atsushi.com/

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