総合TOP > お役立ちインデックス > OnGenアーカイブス > インナミリコメン > 2006/03/08UP 内田勘太郎
トラック\200(税込) アルバム\3,360(税込)
暖かくなってきた。眠気に誘われる季節だ。という言い訳が通用する季節だ。と自分をごまかせる季節だ。 だからこそ、いっそ陽気にだまされ気楽にすごしたいもの。 となれば、そんなときに重要なのはいい音楽である。 ポカポカ陽気に寒々しい音楽を聴くのもナンだし、熱くなりすぎるのもどうかという感じ。適度にリラックスでき、昼寝の邪魔をせず、過不足なく熱を感じさせる作品が望ましい。 そこで、内田勘太郎がちょうど2年前に発表したソロ・アルバム『マイ・メロディ』だ。 日本を代表するブルース・バンドの憂歌団を、1998年の解散まで牽引し続けてきたリード・ギタリスト。派手な存在ではないけれど、彼が日本の音楽史に残してきた功績は大きいと僕は思う。 '02年のインストゥルメンタル・アルバム『Chaki SIngs』と'04年の『Guitar Blues』を含め、彼はソロ・アルバムを計3枚出していて(内田勘太郎トリオ名義の'01年作『暴風波浪警報』もある)、そのどれもがすばらしい仕上がりだ。が、僕が特に好きなのは、初めてのソロ作品でもあるこれ。いい意味で荒削りで、いい意味で肩の力が抜けていて、聴いていて安心できるから。 まず気分をぐっと持ち上げてくれるのが、ジョージ・ベンソンの名曲をオリジナルとはまったく異なる解釈で再現した「ブリージン」。冒頭のアグレッシブなスライド・ギターをはじめて聴いたときには、「こういう方法があったか!」と驚かされたものだ。 さらに、「夢うつつ」、「スリープ・ヲーク」、「LOW DOWN BLUES」などのインストゥルメンタル・ナンバーに貫かれるゆったりとした空気に触れると、言葉がどこにも介在していないにもかかわらずやさしく語りかけられたような気分になる。 インストだと、現在彼が住んでいる沖縄の民謡を取り上げた「ていんさぐの花」や服部良一の曲をエレキ・ギターで表現した「蘇州夜曲」、同じくエレキ展開の「スモーキー・アイズ」もいい感じだ。 一方、リラックスしたボーカルもいい。 「あのメロディ」、ホーギー・カーマイケルの曲に「踊り子」でおなじみの下田逸郎が日本語詞をつけた「スターダスト」、“心配だ心配だ”といいながら最後には心配ごとを忘れていたというオチがつくブルースの「安心」、つまらないことで悩むのがばからしくなってくるラブ・ソング「美らフクギの林から」、翌日への期待感を歌った「明日の夜に」、面倒なことは忘れて眠ろうと歌う「眠ってしまおう」、「人生半分酒と棲み あとの半分歌と寝る」というフレーズが素敵すぎる「人生」などなど、彼のボーカルはちょっとコミカルに「気を抜く」ことの大切さを教えてくれるのだ。 かと思えば、「ラグ・ア・ファンク」や「ボードー・イヴ」では痛快な荒々しさも見せてくれるし、要するにバラエティ豊かで何度聴いても飽きないんですよね。 だからこそ、暖かい休日にはビールでも傾けながらこのアルバムを聴いてすごしたいと思うのである。 いや、どうせなら平日の方がいいかな。