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ホーム > 特集 > リコメンド > 富澤一誠のフォークが好き! > 2008/05/14 佐藤公彦
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ケメこと佐藤公彦は1972年3月5日に『午後のふれあい』でアルバム・デビューした。そして5月5日発売の「通りゃんせ」がヒットしてあっという間に人気者となった。 彼の存在価値は“アイドル”にあった。当時のフォーク・シーンはアイドルを否定していた。なぜなら、フォークはアンチ歌謡曲、アイドル、演歌という姿勢を取っていたので、必然的にフォーク・シンガーのあり方もアンチ・アイドルだったのだ。 そんな状況の中にあって、彼だけはアイドルだった。女の子受けするかわいいルックスとソフトな歌声が彼をアイドルにしてしまったのだ。当然ながらメッセージ・シンガーたちからは「あんなのはフォーク・シンガーじゃない」とパージされるし、純粋なフォーク・ファンからは「あんなのはアイドルじゃないか」と毛嫌いされてしまった。しかし、彼はいっこうに意に介さなかった。なぜか? 自分の音楽性、特にメロディーには絶対の自信を持っていたからだ。浅沼勇プロデューサーは“秘話”を打ち明ける。 「作品作りは真剣だった。ケメの場合、1枚のアルバムを作るのに最低50曲は作っていました。その中から10曲余りを選んで練り上げるわけです。文章でいう推敲ですか、それが完璧でした。だから、レベルは高かったんです」 ケメはルックスがいいだけの単なる“アイドル”だけではなかったのだ。それを証明するに十分なのは「バイオリンのおけいこ」(74年3月10日発売)という曲である。これは母からいわれていやいやバイオリンのおけいこをしている男の子の“本音”を、ユーモアとアイロニーを混じえて見事に表現している。先生は母に“おぼっちゃまは天才でございます”といい、母はすっかりその気になって“バイオリニスト”にしようとするが、主人公が大好きなのは“長島みたいな選手 仁義に生きる健さん”で、バイオリニストにだけはなりたくないと思っている。このユーモアとアイロニー、これは素晴らしいといえる。
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