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総合TOP > お役立ちインデックス > OnGenアーカイブス > 富澤一誠のフォークが好き! > 2008/05/14 佐藤公彦

  vol.84   富澤一誠のフォークが好き!  
佐藤公彦 「バイオリンのおけいこ」
アイドル・フォーク・シンガー、ケメのユーモアとアイロニーが滲む「バイオリンのおけいこ」

 ケメこと佐藤公彦は1972年3月5日に『午後のふれあい』でアルバム・デビューした。そして5月5日発売の「通りゃんせ」がヒットしてあっという間に人気者となった。
 彼の存在価値は“アイドル”にあった。当時のフォーク・シーンはアイドルを否定していた。なぜなら、フォークはアンチ歌謡曲、アイドル、演歌という姿勢を取っていたので、必然的にフォーク・シンガーのあり方もアンチ・アイドルだったのだ。

 そんな状況の中にあって、彼だけはアイドルだった。女の子受けするかわいいルックスとソフトな歌声が彼をアイドルにしてしまったのだ。当然ながらメッセージ・シンガーたちからは「あんなのはフォーク・シンガーじゃない」とパージされるし、純粋なフォーク・ファンからは「あんなのはアイドルじゃないか」と毛嫌いされてしまった。しかし、彼はいっこうに意に介さなかった。なぜか? 自分の音楽性、特にメロディーには絶対の自信を持っていたからだ。浅沼勇プロデューサーは“秘話”を打ち明ける。 「作品作りは真剣だった。ケメの場合、1枚のアルバムを作るのに最低50曲は作っていました。その中から10曲余りを選んで練り上げるわけです。文章でいう推敲ですか、それが完璧でした。だから、レベルは高かったんです」

 ケメはルックスがいいだけの単なる“アイドル”だけではなかったのだ。それを証明するに十分なのは「バイオリンのおけいこ」(74年3月10日発売)という曲である。これは母からいわれていやいやバイオリンのおけいこをしている男の子の“本音”を、ユーモアとアイロニーを混じえて見事に表現している。先生は母に“おぼっちゃまは天才でございます”といい、母はすっかりその気になって“バイオリニスト”にしようとするが、主人公が大好きなのは“長島みたいな選手 仁義に生きる健さん”で、バイオリニストにだけはなりたくないと思っている。このユーモアとアイロニー、これは素晴らしいといえる。

 
佐藤公彦  「バイオリンのおけいこ」
TRACK LIST

佐藤公彦
「バイオリンのおけいこ」
1974 Release
ダウンロード価格
トラック \210(税込)

アーティスト詳細へ


   
   1951年、長野県須坂市生まれ。70年、東京大学文科V類に入学。その後、現状にあきたらず、大学を中退。71年、音楽誌への投稿を機に音楽評論活動に専念。現在、ジャパニーズ・ポップス専門の音楽評論家として、独自の人間生きざま論を投影させ、広く評論活動を展開。
 著書は、ベストセラーになった『松山千春──さすらいの青春』『さだまさし──終りなき夢』『俺の井上陽水』をはじめとして、『新宿ルイード物語』『俺が言う@』『俺が言うA』『フォークが聴きたい』『Mの黙示録 ミリオンセラーは教えてくれる』『フォーク名曲事典300曲』『フォーク検定』など全56冊。
 【WEEK-END PARTY〜forever young〜】(FM NACK5/毎週土曜深夜0時〜3時)【SPIRAL OF MUSIC】(TOKYO FM/毎週金曜夕方5時〜5時30分)【ミュージック・ゼミナール】(STAR digio/毎週土曜夜11時半〜0時)【DAY BREAK FRIDAY富澤一誠 青春のバイブル】(JFN系列27局ネット/第一金曜日深夜3時〜5時)などのプロデューサー&パーソナリティーとしても熱いメッセージを送り続けている。全国的ヒットとなった『MOTER MAN』のSUPER BELL"Zを始めとして、骨骨先生、K-SAMA☆ロマンフィルム、yumirose、ミス・ゴブリン、さくまひでき、熊猫xiongmaoなどのプロデューサーとして、新しい才能を発掘・育成もしている。と同時に、評論家生活を通じて収集した膨大な量のプレスシート、パンフレット、アナログレコードなどを展示した<MUSIC & ARTIST DATA BANK フォーク&ニューミュージック資料館>を2005年春より公開、エルダー・マーケットの開拓にも力を注いでいる。
ブログ公開中(http://tomisawaissei.blog72.fc2.com/)。




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