ロスに滞在中、彼女はピアノも弾かず、シンガーとしての生活からまったく離れていた。結果的に、この54日間のアメリカ滞在が、彼女を変えることになったのだ。それまでの歌手生活は順風満帆だった。78年に「思い出は美しすぎて」でデビューすると、以後はほとんどの曲をヒット・チャートにのせた。
しかし、シンガーとして有名になるうちにいつしか自分というものを見失っていた。目先のヒット曲にとらわれて、自分のスタンスを見定められられなかったのだ。その彼女がロスで暮らしたことで自分自身を冷静に見つめることができ、自分を取り戻した。
「それまでの私は、自分が好きだからうたうんだ。歌いたいものをうたえばいいんだっていう意識があったのね。それじゃあアマチュアだということに気づいたの」
その甲斐あってか、帰国第1作の「パープルタウン」(80年7月21日発売)は60万枚の大ヒットとなったのである。
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