総合TOP > お役立ちインデックス > OnGenアーカイブス > 富澤一誠のフォークが好き! > 2007/04/11 松山千春(1)
松山千春のデビュー曲「旅立ち」(1977年1月25日発売)は、故郷を後にする人の心情を女性の立場からラブソング仕立てでうたったものだ。旅立ちには別れがある。別れには、涙がつきまとう。しかし、「旅立ち」は“私の事などもう気にしないで 貴方は貴方の道を歩いてほしい”と涙をおさえて、前向きの姿勢でうたわれている。それだけに、逆に郷愁の念は断ち難く、つのりやすい。 高校を卒業した年のお盆の晩、千春は足寄から各地に出て行き、盆帰りしてきた人たちを集めて、足寄公民館で<10円コンサート>を開いた。千春は、歌で自分はこんなことを考えているということを訴えたかった。高校時代は恥ずかしくて、自分の作った歌を人前ではうたえなかったが、社会人になってからは、人前でも堂々とオリジナル・ソングをうたえるだけの度胸を身につけていた。 <10円コンサート>には帰郷した友だちがたくさん集まり、大盛況だった。そんな友だちを前に、千春は得意のジョークをまじえながら、たくさんの歌をうたったが、その中で最も受けたのが「旅立ち」だった 故郷を離れてからまだ4ヵ月あまり。故郷に対する思いが熱く残っているみんなの胸に、千春の「旅立ち」は矢のように突き刺さった。そのため、会場は一瞬静寂の世界となり、あちこちから感動のすすり泣きが生じたほどだ。それぞれがそれぞれに故郷を思いながらも、新しい人生へと旅立って行く。「旅立ち」は千春自身の“旅立ち”でもあったのだ。