総合TOP > お役立ちインデックス > OnGenアーカイブス > 富澤一誠のフォークが好き! > 2007/02/14 イルカ
イルカはシュリークスを解散して、1974年10月にソロ・シンガーとして再びスタートを切った。その1年後、彼女は「なごり雪」(75年11月5日発売)の大ヒットを飛ばし“イルカの世界”を確立した。 「なごり雪」は、汽車に乗って女が男のもとを去ってしまう、早い話が、男が女にふられる内容である。だが、ただのラブソングではない。 “ふざけすぎた季節”──これはほかでもない、今までのふたりの生活である。おそらく男の方が女よりはるか年上で、女の方はさながら幼妻的であったかもしれない。男は年上らしく年下の女を扱い、初めのころは女も男を頼もしく思っていた。男にとって、自分が頼もしく思われることは本望で、女が男に頼っているのを感じて内心うれしかったに違いない。 しかし、時の移ろいとともに女は確実に成長して大人になった。それに伴い、女は男からひとり立ちするようになった。ひとり立ちといっても、出て行くということでは決してない。精神面でのひとり立ちである。そうなると、女には今まで見えなかったものが見えてくる。今までは男に頼りきっていたものが、自分ひとりでできるようになる。しかし、そんなことに気づかない男は、いつまでも前のように、女を子供扱いする。別にそれは悪気があってやっているのではもちろんない。ところが、女から見ればそれは耐えられないということになる。いつの間にかふたりの間に埋めようもないギャップができてしまう。そのことに気づいたときには、ギャップがもう埋めようもなく深くなってしまっていた。それで女は汽車に乗って男のもとを去って行く、というわけだ。 春になって君はきれいになった。去年よりもずっときれいになった──なぜ去年よりきれいになったのか? それがわからないかぎり女は去って行くだろう。お互いが成長して大人になっていく。そのときにお互いをしっかりと見つめていなければ、必ずふたりの間にギャップが生じ破局がくる。そのことを「なごり雪」は教えているから、たくさんの人々の共感を得たのである。