総合TOP > お役立ちインデックス > OnGenアーカイブス > 富澤一誠のフォークが好き! > 2006/10/25 ばんばひろふみ
バンバンの「『いちご白書』をもう一度」(1975年8月1日発売)は、同年10月27日から12月22日まで9週連続でシングル・チャートの首位を独走しミリオンセラーとなった。作詞作曲はユーミンだったが、実はバンバンにとっては背水の陣を敷いての“最後の賭け”だったのだ。その辺の事情を前田仁ディレクターは語る。 「ばんばひろふみが今度売れなかったら田舎に帰って家業(料理旅館)を継ぎます、というので、だったらおれにすべて任せてくれるか、といったんです。で、ユーミンに曲を頼むことにしたんです」 内容は、<いちご白書>というコロムビア大学紛争を描いた映画のポスターが壁に貼ってあったことから、彼女とふたりで<いちご白書>を見に行った青春時代のことを思い出していく。この歌の主人公の男は青春時代を熱く過ごしている。無精ヒゲと髪をのばして、学生集会へもときどき出かけて行った、といったふうに典型的な学生の姿がうまく描かれている。当時、若さの象徴はヒゲと髪、そしてときどき学生集会に出かけることだった。髪・ヒゲ…そんなものに理屈などはなかった。だが、髪を長くし、ヒゲをのばすことが若者たちにとっては必要なことだったのだ。 しかし、大学4年になって“就職”という言葉が重く感じられるようになると、多くの者は、就職が決まって髪を切り、「もう若くないさ」と言い訳した、と、この歌にうたわれているようになってしまう。“もう若くないさ”と言い訳することによって、どうにかなるとは思っていない。これはいうならば“テレ隠し”である。“もう若くないさ”という言葉の裏には寂しさがべったりと張りついているのだ。その意味では、「『いちご白書』をもう一度」は青春に別れを告げなければならない人たちの歌だった。挫折していった人たちの歌かもしれない。そんな人たちの心の代弁をしたからこそ、この歌はたくさんの人々の胸を打ったのだろう。 *『Hello Again』収録の「『いちご白書』をもう一度」等の旧曲は、新しい編曲によるニュー・バージョンです。