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総合TOP > お役立ちインデックス > OnGenアーカイブス > 富澤一誠のフォークが好き! > 2006/05/10 海援隊(2)

  vol.37   富澤一誠のフォークが好き!  
海援隊/母に捧げるバラード
故郷にすがりついてヒットをつかんだ「母に捧げるバラード」

デビューして10ヵ月ほど経った1973年8月のこと、海援隊は彼らの担当プロデューサー、浅沼勇さんに呼ばれた。
 「お前ら、レコードの売り上げがあまりにも悪すぎる。今、うちの会社は減量経営になりつつある。そんな時期だから、今度売れないと、お前ら、田舎に帰ってもらうことになるぞ」
 そういわれて、武田鉄矢は、なんとかしなければ、と思った。
 デビュー・アルバム『海援隊がゆく』は予想に反して、まるで売れなかった。自信があったコンサートも東京ではさっぱり受けなかった。鉄矢が博多弁を使ってしゃべればしゃべるほど東京ではシラけるばかりだった。鉄矢は自信をすっかり失いかけていた。

 そんなときだった。福岡の同僚でありライバルのチューリップ「心の旅」がヒット・チャートのトップになったというニュースが飛び込んできた。「チューリップにだけは負けないぞ」──意気消沈していた鉄矢は気を取り直し、ペンを取って机に向かった。そうしてできあがったのが「母に捧げるバラード」だった。
 鉄矢はこの歌にすべてをこめた。東京で博多弁は通用しないことも身をもって知ったので“お母さん、今ぼくは思ってます”と出だしはわざと標準語を使い、途中で“コラ! 鉄矢 なんばしよっとかいなこの子は”と博多弁に切り替えた。鉄矢は崩れてしまう夢と必死になって戦っていた。子供が困ったときに母にすがりつくように、鉄矢は助けてくれと故郷にすがりつこうとしたのだ。その意味では、「母に捧げるバラード」は追いつめられた鉄矢の悲鳴のような歌だといってよい。

 この歌は73年12月15日に発売された。年の瀬もおしつまって世情が騒然としているさなか、この歌は“面白い”ということで忘年会用の面白ソングとしてまず注目された。そして暮れから74年初頭にかけて大ヒットし、この歌が海援隊を“死に体”から救うことになったのである。

 
海援隊/母に捧げるバラード
TRACK LIST

『航海誌』
1983 Release
ダウンロード価格
アルバム \3,200
トラック 各\200(共に税込)

*「母に捧げるバラード」はオリジナル・アルバム・バージョン
   アーティスト詳細へ


   
   1951年、長野県須坂市生まれ。70年、東京大学文科V類に入学。その後、現状にあきたらず、大学を中退。71年、音楽誌への投稿を機に音楽評論活動に専念。現在、ジャパニーズ・ポップス専門の音楽評論家として、独自の人間生きざま論を投影させ、広く評論活動を展開。
 著書は、ベストセラーになった『松山千春──さすらいの青春』『さだまさし──終りなき夢』『俺の井上陽水』をはじめとして、『新宿ルイード物語』『俺が言う@』『俺が言うA』『フォークが聴きたい』『Mの黙示録 ミリオンセラーは教えてくれる』『フォーク名曲事典300曲』『フォーク検定』など全56冊。
 【WEEK-END PARTY〜forever young〜】(FM NACK5/毎週土曜深夜0時〜3時)【SPIRAL OF MUSIC】(TOKYO FM/毎週金曜夕方5時〜5時30分)【ミュージック・ゼミナール】(STAR digio/毎週土曜夜11時半〜0時)【DAY BREAK FRIDAY富澤一誠 青春のバイブル】(JFN系列27局ネット/第一金曜日深夜3時〜5時)などのプロデューサー&パーソナリティーとしても熱いメッセージを送り続けている。全国的ヒットとなった『MOTER MAN』のSUPER BELL"Zを始めとして、骨骨先生、K-SAMA☆ロマンフィルム、yumirose、ミス・ゴブリン、さくまひでき、熊猫xiongmaoなどのプロデューサーとして、新しい才能を発掘・育成もしている。と同時に、評論家生活を通じて収集した膨大な量のプレスシート、パンフレット、アナログレコードなどを展示した<MUSIC & ARTIST DATA BANK フォーク&ニューミュージック資料館>を2005年春より公開、エルダー・マーケットの開拓にも力を注いでいる。
ブログ公開中(http://tomisawaissei.blog72.fc2.com/)。




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