総合TOP > お役立ちインデックス > OnGenアーカイブス > 富澤一誠のフォークが好き!> 2006/03/022 小椋佳(4)
人は歳を重ねるにつれて感動とか感激という感情をなくしていく。若いときには何事に対しても心ときめいていたのに、そのときめきが歳を重ねるのに反比例して希薄になっていく。それはある意味ではしかたがないことなのかもしれない。 若いときには常に“初体験”のときめきがある。しかし、その初体験も繰り返すことによって“あたりまえ”のこととなり慢性化することで、いつしかときめきをなくしてしまう。こうして、ぼくらは初体験でときめいて最高の感動、感激を得たおかげで、その後の体験は繰り返しの“やき直し”にしてしまうのだ。これは“宿命”かもしれない。だから、その宿命を素直に受け止めて「そんなもんさ」と達観してしまう人は多い。 しかし、達観を拒否して、その宿命に抵抗する人もいる。小椋佳は後者のタイプだ。 彼に「揺れるまなざし」という曲があるが、これは宿命に抵抗のふりだけでもしたいという気分のときに作ったものだ、という。 「揺れるまなざし」は、偶然めぐり会った不思議な“揺れるまなざし”を持った女性に心が波立つ感動をうたったものだ。ここで小椋は、夢に見た女性でもないし、思い出の女性でもない、とそのすてきさを語り、だから、あの女性のまなざしが揺れて眠れない、とときめきを最大限に表現する。もちろん、こんなときめきは現実にはありえない。だからこそ、彼はあえて歌で“抵抗”したのだろう。この「揺れるまなざし」は資生堂のキャンペーン・テーマとして、1976年7月21日に発売された。「揺れるまなざし」はキャンペーン・テーマとして、テレビ、ラジオで大量スポットを打たれたことが功を奏して大ヒットとなった。これによって、“小椋佳ブーム”は一気に頂点を迎える。「シクラメンのかほり」から始まったブームは、1年後にマグニチュード8級の揺れを引き起こしたのである。