総合TOP > お役立ちインデックス > OnGenアーカイブス > 富澤一誠のフォークが好き!> 2006/01/25 井上陽水(4)
日本音楽史上初めての“ミリオンセラー・アルバム”となった『氷の世界』から10ヵ月後の1974年10月1日に、井上陽水のニュー・アルバム『二色の独楽』は発表された。 このアルバムは、同年の7月上旬から1ヵ月間、ロサンゼルスでレコーディングされたもので、アレンジャーにはジーン・ペイジ、ジャック・ニッチェが加わり、バック・アップ・ミュージシャンもアメリカの一流どころを起用していた。 『氷の世界』という日本音楽史に残る名アルバムを発表した後だけに、次作はとの期待と“不安”があった。不安はアルバムに先だってシングル・カットされた「夕立」(9月1日発売)を聴いたときに生まれていた。「夕立」はそれまでの陽水の“叙情派フォーク”とは全く異質で“ロック”的だった。叙情派フォークからサウンド志向への移行の“前兆”は「夕立」の前のシングル「闇夜の国から」で既に感じてはいたが、まさか「夕立」ほどロック的になるだろうとは予想できなかった。それだけに「夕立」は陽水ファンにとってショックだった。田中裕さんは当時のマスコミの反応を振り返って語る。 「かなりとまどっていたことは事実でしたね。気の早いマスコミは、陽水はロックに転向とか書いたところもあったけど…確かに陽水自身が変わりつつあったことは事実だった。それをどう説明したらわかってもらえるか?宣伝担当としては頭が痛かったですね」 陽水の音楽的志向の変化は『二色の独楽』で明らかになったが、このときはまだ“叙情派フォーク”と“ロック”の中間のサウンド志向で、それだけに「陽水はどうしてしまったのだろうか?」と受け止められていた。しかし、陽水自身の中ではフォークからロックへの志向の変化が明確にあったのである。