総合TOP > お役立ちインデックス > OnGenアーカイブス > 富澤一誠のフォークが好き!> 2005/06/08 谷村新司
ソロ・アルバムの価値は、グループでやっているかぎり、その背後に隠れてしまって見えない“個人の領域”を出すことにある。そうすればグループにとっても、背後に肉がつくから奥行きが広がることになり、結果として、グループに厚みが加わることになる。ところが、個人の領域が出せないと、結果的にグループに厚みも何も加わらない。だからこそ、ことソロ・アルバムに関しては、グループのイメージからは想像もつかないような“個人の領域”を全面に出さなければ価値はないのだ。
しかしながら、現実にはたくさんのソロ・アルバムを聴いてがっかりすることが多い。あまりにもグループの音楽に近すぎるからだ。谷村新司の初めのソロ・アルバム『蜩』もそんな感じだった。当時『蜩』について「ファンには涙の出るレコードだが、広がりは持てない」というレコード評を書いたことを覚えている。
そんな谷村が“個人の領域”をソロ・アルバムに反映できるようになったのは、セカンド『海猫』からであり、それを確立したのは5枚目の『喝采』(1979/04/21発売)だった。そして、その代表作が彼の“初めてのソロ・シングル”「陽はまた昇る」(同年06/05発売)である。当時はさほど売れなかったが、谷村のソロとしての方向性を明確に決めた記念すべき曲となったことは特筆される。その後「陽はまた昇る」はコンサートで“名曲”として認知され、谷村が'89年暮れの『NHK紅白歌合戦』で熱唱するに及んでメジャーな曲となり、今ではカラオケの“スタンダード・ナンバー”としてたくさんの人々に愛唱されている。「昴」「群青」で“頂点”を極める途上のプロセスでの谷村新司も乙なものである。