「MUSIC TREE(ミュージック・トゥリー)」は、温かい気持ちを持っているアーティストの活動を応援するために「株式会社USEN(代表:宇野康秀)」と、森を守り育てるエコ活動を行っている「more trees (代表:坂本龍一)」とのコラボレーションによって誕生した、チャリティープロジェクトです。アーティストのみなさんは自分で作った楽曲を配信することで、リスナーのみなさんはその楽曲をダウンロードすることで、チャリティーに参加することができます。
例を挙げましょう。ペット・ショップ・ボーイズの出世作となった「West End Girls」はグランドマスター・フラッシュの「The Message」、「Suburbia」はマドンナの「Into The Groove」のベースラインからインスパイアされて誕生しています。いわゆるカット&ペーストのサンプリングではなく、トレースして別の作品に組み立てていく作業は、非ミュージシャンであるDJがエンジニアに指示して制作するときの一般的な手法ですね。しかも本来なら、こうしたことは隠すのがアーティストとしてのプライドですが、PSBは臆面も無く答えています。また「Single - Bilingual」は、単体で聴くと解りませんが、収録アルバムである『バイリンガル』では、「Discoteca」という曲の同じリズムをそのまま使って別の曲に仕立てています。ノンストップというクラブ的な要素を、オリジナルの部分で楽曲に反映させている訳ですね。如何にもクラブ仕様という意味では、リミックスアルバム『ディスコ』シリーズの定期リリースや、オリジナルアルバムなのに最初からロングバージョンのリミックスが詰まった’88年の『イントロスペクティヴ』といった作品があります。面白いのは、「Somewhere」のように、外部に依頼したリミックスが良かった場合、そちらをシングルバージョンにしたり、更にそれを元にして自分達で加工を施すなどし、異なるミックスを作ってしまう寛容さなど、いろんな側面でDJ的な観点が発見出来るわけです。
そんなPSBの集大成といえる作品が『ポップ・アート』で、全38曲のシングルを“Pop”と“Art”に分類して収録しています。ザ・スタイル・カウンシルの「Promised Land」同様、DJ INTERNATIONALの作品をハウス・アクトではないポップ・フィールドで活躍するPSBが’89年にカバーしたことで、ハウス・ミュージックの一般化を決定的にした「It's Alright」、U2とフランキー・ヴァリ(というよりボーイズタウン・ギャングのバージョン)の遊び心たっぷりなメドレー「君の瞳に恋してる/Where The Streets Have No Name(I Can't Take My Eyes Off You)」などなど聴き所は盛りだくさん。また、個人的に敬愛・崇拝するトレヴァー・ホーン周りの人脈が活かされているのも嬉しい限りです。もし、今回聴いて気に入ったら、それぞれのオリジナルアルバムをただ手に入れるのではなくて、 “Further Listening”というボーナスCDが付いた限定版シリーズを探して下さい。というのは、本人達が、これでもかというくらい赤裸々に吐露した曲解説がブックレットに付いています。リリース時にはカミングアウトしていなかったこともあり触れていませんでしたが、いまでは潔いくらいにゲイをテーマにした楽曲のことを語ってくれています。