個人的に仕事柄というか、気に入った英語の単語やフレーズがあったら曲名やプロジェクト名、歌詞に使えないかと思って書きためているんですが、やはり歴史に残るグループやプロジェクトはカッコイイ名前が多く、響きだけで勝ちって感じがしますね。お気に入りとしてまず挙げるとすれば、“騒音の芸術”ことアート・オブ・ノイズと、今回紹介する“暗闇の中の管弦楽的戦略”という意味を持つオーケストラル・マヌーヴァース・イン・ザ・ダーク、略してOMDでしょうか。
OMDといえば、ニュース番組のテーマになったことでお馴染みの「
エノラゲイの悲劇/Enola
Gay」が有名なエレポップ・ユニットであります。今となってはとんでもない勘違いなんですが、確か中学生のときにタイトルから、エノラっていうゲイの人の悲劇の歌なんだ、と勝手に思っていました。エノラゲイとは、広島に原爆を投下したB-29爆撃機のことであり、当然、この曲もそのことにインスパイアされて書かれているので、あの惨劇を忘れないためにも、この曲は後世に残していかなければなりません。
で、今回紹介する『
ニュー・ベスト・オブ・OMD/The
OMD Singles』は、’98年に発表されたOMDのラストを飾るベストアルバムです。一応補足すれば、配信で紹介されているのは、’03年にリミックス盤をディスク2(ここでは19曲目以降)に追加したニュー・エディションになります。残したオリジナルアルバムは、’80年の『
エレクトロニック・ファンタジー/Orchestral
Manoeuvres In The Dark』から’96年の『ユニヴァーサル』までの計10枚。約20年に渡ってイギリスのみならず、世界中のエレクトロニック・ミュージック・ファンを魅了したOMDは、アンディ・マクラスキーとポール・ハンフリーズのコンビを中心に成るんですが、’89年にはポールが去り、’91年のアルバム『
シュガー・タックス』からはアンディのソロプロジェクトとなります。つまり「
Sailing
On The Seven Seas」以降の曲ですね。そうなんです、実はこのベスト盤、時系列にそって曲がならべられています。ということは、当然一番古いのは1曲目の「
Electricity」。この曲、最初はFACTORY(
ニュー・オーダー亭参照)から出ていたんですね(初期のジャケットは、ピーター・サヴィルが手掛けているのも注目です)。
実質デビューして3枚目のシングルである‘80年の「
エノラゲイの悲劇」が全英8位と大ブレイクしたので、その後もイギリスでは常にチャート入りする常連と見なされるユニットだったのですが、アメリカではダンス・チャートに顔を覗かせる程度でした。それが映画『プリティ・イン・ピンク』からの「
If
You Leave」にてアメリカでも一気に名を轟かせます(全米4位)。実はその前の’85年のアルバム『
クラッシュ』にて、この『
レコ麺』ではお馴染みの、スティーヴン・ヘイグをプロデューサーに迎え、「
So
In Love」で初めて全米トップ40入り(正確には26位)し、足がかりを掴んでいました。
個人的には「
If You Leave」や、最初のベストである’88年の『
ドリーミング/The
Best Of OMD』からのカットの「
Dreaming」(全米16位)、
ラヴ・アンリミテッド・オーケストラの「
愛のテーマ/Love’s
Theme」をベースにした’93年の「
Dream
Of Me」(全英24位)あたりのロマンティックなOMDも好きなんですが、ハイエナジー・テイストの’84年の「
Tesla
Girls」(全英21位)なんかも捨て難いです。
先述の『ユニヴァーサル』で、再びポールがクレジットに名を連ねることになりましたが、ここにてOMDの歴史は一旦幕を閉じます。一旦というのは、アンディの方はソロプロジェクトになってからのOMDにて大きな役割を果たしたスチュアート・カーショウとともに
アトミック・キトゥンのソングライターとして活躍、ポールの方は元OMDの3/4のメンバーにてリスニング・プールを結成して活動したあと、ブログの方でも取り上げましたが、元プロ
パガンダのクラウディア・ブリュッケンと一緒にワントゥーとして活動しています。そして現在は、当時のバンド・メンバーを従えOMDを再結成し、ツアーを行っています。ので、そのライブCDも発売が予定されているとのことで楽しみです。それにしても、ジャーマン・エクスペリメンタルに触発されてスタートしたユニットで、ポップ・ミュージックとは無縁だったはずなのに、ここまで名を残して再結成を望まれるなんて本人達が一番ビックリでしょうね。