狂乱の(?)バレンタインデーも過ぎたところですが、そういえば前回、時節柄アーモンド・チョコレートにかけて、
マーク・アーモンドをピックアップすれば良かったと今更ながら思っている今日この頃です。が、考えていても仕方ありません。この機会に取り上げてしまいましょう。で、単に
マーク・アーモンド個人だと面白くないので、一気に
ソフト・セル時代も紹介できれば一挙両得なわけで、そんなときにピッタリなのが’91年リリースされた『
メモラビリア〜ベスト・オブ・ソフト・セル&マーク・アーモンド』です。
マーク・アーモンドという名前を知らない人に個人的に表現するならば、エレポップ・エラの妖艶な堕天使、といった感じなんですが、
マーク・アーモンドとデイヴ・ボールの
ソフト・セルは、当時としては画期的なダンス・リミックス・アルバム『
ノン・ストップ・エクスタティック・ダンシング』を’81年に出したという先見性だけでなく、アート・フォームとして成立する作品群を残したことで、短い活動期間(レコード・デビューは’80年、解散は’84年)にもかかわらず多くの信奉者を持っています。その後、マークはソロとしての道を歩み、デイヴはサイキックTV一派とより親密になり、その流れでリチャード・ノリス(最近ではエロール・アルカンとのビヨンド・ザ・ウィザーズ・スリーヴ名義で有名)とザ・グリッドを結成するんですが、こうして別々の道を歩んでいた二人が再び出会ったのが今回のアルバムなのです。一応、その前にここにも収録されたマークのソロである’90年の「
浮浪の民(Waifs And Strays)」(駐:配信に関しては、残念ながら
ソフト・セルのみの作品に限定していますので、
マーク・アーモンドの楽曲は別途ダウンロードして下さい)のリミックス(『
Treasure Box』にて
ショート・バージョンですが聴けます)をザ・グリッドが手掛けるという布石がありますが、何はともあれファンにとっては嬉しい作品となりました。というのも、
ソフト・セル時代の「
Memorabilia ‘91」、「
Bedsitter」、「
What」の3曲をザ・グリッドがリミックスしているからです。このコンビネーションは、マークの同年のソロアルバム『テネメント・シンフォニー』にも引き継がれ、トレヴァー・ホーン御大のプロデュースも手伝い、個人的には非常に思い入れの深いアルバムになっています。
閑話休題。そんな感じで今作は、単に
ソフト・セルと
マーク・アーモンドの作品を纏めたものではなく、新たなリミックス・バージョンを多数含むベスト盤になっています。ちなみに「
Tainted Love '91」(シングルカットされた際にはザ・グリッドのリミックスもアリ)、「
Say Hello, Wave Goodbye '91」(12インチ・バージョンも)、「
Where The Heart Is '91」の計3曲は、
ペット・ショップ・ボーイズなどで有名なジュリアン・メンデルゾーンが手掛けていて、マークのソロである「Tears Run Rings」は’88年に発表されたジャスティン・ストラウスのリミックスがピックアップされています。
代表曲はなんといっても’82年の「
汚れなき愛(Tainted Love)」。最近では、
リアーナが「
SOS」にて大々的にサンプリングしていましたね。元々は
マーク・ボランの奥方であったグロリア・ジョーンズの曲であります。’81年全英No.1に全米8位という、
ソフト・セル的にも最高のチャート・アクションを記録しました。ソロとしてはオリジナルを歌った当人であるジーン・ピットニーを引っ張り出しての「
心はいつも君のもの(Something's Gotten Hold of My Heart)」が’89年に全英No.1に輝いています。客演としては
ブロンスキ・ビート亭で取り上げた
ドナ・サマーのカバーである「I Feel Love」が印象的です。このように、マークはカバーのセンスが素晴らしく、様々な楽曲を取り上げています。エレポップのイメージしかない人には、是非とも彼のソロアルバムを掘り下げて、幅広い嗜好性を堪能してみて下さい。ただ、メコン、システムF、Tトータルといった人達にフィーチャーされていることからも解るように、クラブ・サイドでの人気が高いのも事実です。例えば、「
Memorabilia」のプロデュースなんて、MUTEの総帥であるダニエル・ミラーがやってますしね。
さてさて、カタログ数も多いので、これ以上深く触れることは出来ませんが、
ソフト・セルは’01年に再結成し、‘02年には『クルーエルティ・ウィズアウト・ビューティー』を出し、ライブも行っています。まだまだ色んな形で楽しませて欲しいですね。今度、機会があればデイヴ・ボールの方にも焦点を当ててみたいです。